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2013年2月27日 (水曜日)

NU東京結成15周年の日に、思いつくまま書きます。

わたしたちNU東京は、1998年2月27日に結成されました(当時の本部所在地は板橋区)。ということで、気がつけば今日は結成15周年の記念日です。

この15年間に私たちが受けた労働相談件数は1万件を超えます。寄せられる相談のテーマは解雇、退職勧奨・退職強要、ハラスメント・嫌がらせ、出向・転籍、降格・減給、賃金(残業代含む)未払い、遅配・欠配、病気・休職そして労働組合作りと、ほぼ変わりませんが、その内容は深刻化しています。

まず、賃金が大幅にダウンしています。IT労働者の時間あたり換算の賃金は、ほぼ半減したといって良いと思います。加えて労働密度が高まり、過重労働となり、これによる病気休職の相談が多くなってきました。

この15年間は、日本における製造業従事者が減少した15年間でもあります。NU東京結成時の1998年は、日本がバブル経済の傷を負いながら製造業主体から非製造業主体の産業構造へと大きく動き出したときでした。1990年代半ばに日本は非製造業社会に舵を大きく切りました。そして「正社員」中心から「非正規労働者」の大量採用へと大きく動きました。このような労働者を取り巻く環境の大変化は労働者を個々バラバラに経営者と向き合わさせ、形だけの「労使間の自由な契約」のもとで、労働者に不利な労働条件を押しつけ、そして労働者の生活は苦しくなる一方なのに、日本は「いざなみ景気」(戦後最長の「いざなぎ景気」並の好景気)を生み出したのでした。いつの間にか大企業の「内部留保金」が数百兆円にもなるという、格差と富の偏在が生じていました。

この富の偏在と社会的不幸へが、誰の目にも明らかになったときに(安倍第一次内閣が残業代は払わなくて良いなどという法律を作ろうとしたことを忘れてはなりません)、自民党政権は崩壊し、民主党中心政権が(短命ですが)生まれました。

15年の間に、さらに二つの大きなことが起きました。

一つは2008年9月の「リーマンショック」であり、これは市場原理主義と「経済学」の破綻を印象づけました。

もう一つは2011年3月11日の東日本大震災と引き続き起きた福島原発の爆発事故です。これは、政府が長年続けてきた原発行政のデタラメさを一気に明らかにしました。

この二つの事態は、私たちに世界のあり方と日本のあり方を根本的に問い直す必要を感じさせました。それはまた、日本の社会のあり方を問うものでした。

しかし、日本の労働組合活動は、このような大事なときに停滞し続けています。

その大きな原因は企業別の(企業と一体になった)労働組合のあり方があります。また、製造業の従事者が1000万人を切るまでになっているのに、労働運動の形は未だに「重厚長大」で、個々人がバラバラになって働いている、日本の現状と乖離してしまっています。日本の労働運動の作り直しも必要だと思います。

長々と書いてしまいました。

とにかくNU東京結成15周年です。

といっても、特に記念イベントはなし。ただ、私たちは日頃の活動を淡々と続け、その活動の中から新しい労働運動の形を模索するのみです。

(かわせみ)

2013年2月 1日 (金曜日)

日本の労働者の賃金が1990年以降最低、そして製造業就労者は1000万人割れという状況で、実は膨大な「未払賃金」が発生しているのではないか?

昨日の新聞報道によると、日本の労働者の賃金(賞与を含む現金給与総額)は、厚生労働省が統計を取り始めた1990年以降で最低額になったそうです。報道によると、給与総額は1998年以降下がり続けているということですが、ならば2002年1月から2008年2月までの73ヶ月間続いたという「最長の好景気」である「いざなみ景気」、あるいは1999年1月から2000年末にかけての「ITバブル」とはいったい何だったのでしょうか?

日本の労働者は、政府が何といおうと(自民党であろうと民主党であろうと)、一部の大企業や、怪しげな起業家・ヒルズ族が濡れ手に粟で利益を享受している一方で、確実に貧困化してきたのです。

とくに「いざなみ景気」は、労働者の賃金抑制、大幅な「非正規」労働者の採用によって、企業は利益を確保し続けてきました。労働者の犠牲の最終的な仕上げが「残業代は払わなくて良い」という悪名高き「ホワイトカラーエクゼプション制」の法的整備でしたが、これはあまりにも酷く、社会格差も拡大したために、小泉・安倍・福田・麻生と続いた市場原理主義を基盤視した特権世襲政治家による自民党政府崩壊の一因となりました。

一方、今日の新聞報道によると、日本の製造業就業者が51年ぶりに1000万人を下回ったとのことです。

51年ぶりといっても、52年前は農林漁業従事者が多かった訳です。ところが、現在は、製造業に変わるのは「農林水産」でなくて「サービス・商業」です。これは日本の産業構造が販売・金融・情報・サービスにシフトしているということで(1990年代半ばで製造業中心ではなくなっている)、この非製造業中心の産業構造は、ともすれば使用者側が都合良く労働者を使うことができ、労働者サイドから見ると、労働時間は増えても(サービス残業の増大)賃金が増えないという問題があります。

工場労働を中心とした製造業は、労働時間管理が明確な上、労働組合も(企業組合であろうと)組織しやすく、労働時間に対する賃金支給にごまかしがきかないということがあります。一方、サービスや商業労働の場合、IT技術の進歩もあわせ、労働時間管理ができず(あるいは企業があえて行わず)、時には24時間態勢で勤務しても、時間外労働はカウントされないような状況を生みます。

近年、過重労働問題(過労死、病気休職)が多発しているのは、このような産業構造の変化も大きくあると思えます。

政府(厚労省)の発表の通り、下がり続けている日本の労働者の給与所得において、どれほどの未払い賃金が発生しているか(この額は統計に表れず隠されています)? このことが問われるべきです。

もし、実際に労働者が働いた時間に対して正当な賃金が払われていたら、どのような統計数字になるのか? 労働相談を受け様々な事例に接する立場からすると、給与所得は「増えていなければおかしい」のです。

だから、日本の労働者の給与所得が最低になったという状況のその裏には、確かに低賃金労の「非正規」労働者の大量最良があるものの、一方では産業構造の大幅な変化と、デタラメな賃金支給(制度)によって、日本の労働者に対する未払い賃金(給与所得統計に反映しない)が大幅に増えているという現実も見なければなりません。

労働行政はいま、労働者の立場に立つことなく、死ぬほど働いてようやく「労災」という酷さです。せめて実労働時間の把握と未払賃金の支払いを求めるようになれば、ものすごく「税収」が上がるはずです。労働者の生活を破壊するアベノミクスのインフレ策や大増税策より、その方が先決問題です。

2012年2月28日 (火曜日)

3月2日と3日に、労働組合がない人、労働組合があっても春闘がない人のための電話相談ホットラインを開設。

2012年3月2日(金)と3日(土)は 03-3341-0337

「春闘」ができない人、労働組合が無い人・利用できない人のための

労働相談ホットラインへ

 労働組合ネットワークユニオン東京(NU東京)は、きたる3月2日(金)と3月 3日(土)の2日間、労働相談ホットライン「2012春 雇用と労働のホットライン」(電話での労働相談受付)を開設いたします。このホットラインは解雇・退職勧奨、ハラスメントや労働条件の不利益変更、労働環境問題に直面しても、「春闘・労働組合」が無い人、「組合」があっても相談できない人(非正規社員でも管理職でも)が相談を寄せる場として位置づけています。

 私たち労働組合ネットワークユニオン東京は1998年2月の結成以降、労働組合と労働団体のネットワークを活かして、会社・職場で発生する様々な雇用問題に対応するため、時期に労働相談ホットラインを開設してきました。ホットラインに寄せられた相談や質問に対しては、14年間の活動経験を生かし、組合内で相談受付研修を受けた労働組合員が対応し、問題にふさわしい相談先の紹介や緊急避難的なトラブル回避方法などを提示、また社内労働組合や社内の苦情処理・コンプライアンス遵守組織の利用法などをアドバイスします。東京以外の相談も受付け、全国の労働相談受付先の紹介などもいたします。
 
「2012春 雇用と労働のホットライン」次第

     記
1、開設日時
2012年3月2日(金)、3月3日(土)両日の10時から20時
2、ホットライン回線番号
03-3341-0337(ホットライン期間のみ)
3、ホットライン開設場所
 労働組合ネットワークユニオン東京事務所
4、相談受付体制
 相談受付電話の置かれた事務所に、研修を受けた相談員を配置
 相談は全国のどこからでも構いません。
5、問い合わせ先
 03-5363-1091 労働組合ネットワークユニオン東京(ホットライン回線とは別回線)
  東京都渋谷区千駄ヶ谷5-15-13千駄ヶ谷エレガンス202
 ※事務所の電話は平日の12時から19時の時間帯でお受けしています。

2011年2月 8日 (火曜日)

解雇・退職勧奨・労働条件切り下げなどに直面したら・・・。 労働相談ホットラインを2月18日・19日に開設します。

「春闘」が無い人、労働組合が無い人、労働組合があっても使えない人(労働組合が機能していない場合も)が、解雇、退職勧奨、ハラスメント、労働条件の切り下げや労働環境問題などに直面したら・・・。

インターネットを見ると、様々な相談の場所があるけれど、何処がよいかわからない?

そんな人のために、NU東京は春闘の前段として、労働相談ホットラインを開設します。

2月18日と19日の10時から20時、03-3341-0337(終了)

☆ホットライン終了後の電話相談は 03-5363-1091(12~19時)へ

相談はもちろん無料、秘密厳守(所属労働組合にも情報は行きません)。社内組合の利用法や、会社組織の活用法などもアドバイス。

もちろん正社員でなくても、アルバイトでもOK、管理職でもOKです。

詳細は以下のとおりです。

------------------------------- 
2月18日(金)と19日(土)
「春闘」ができない人、労働組合が無い人・利用できない人のための
労働相談ホットライン

 労働組合ネットワークユニオン東京(NU東京)は、きたる2月18日(金)と2月 19日(土)の2日間、労働相談ホットライン「2011春 雇用と労働のホットライン」(電話での労働相談受付)を開設いたします。このホットラインは解雇・退職勧奨、ハラスメントや労働条件の不利益変更、労働環境問題に直面しても、「春闘・労働組合」が無い人、「組合」があっても相談できない人(非正規社員でも管理職でも)が相談を寄せる場として位置づけています。

 私たち労働組合ネットワークユニオン東京は1998年2月の結成以降、労働組合と労働団体のネットワークを活かして、会社・職場で発生する様々な雇用問題に対応するため、時期に労働相談ホットラインを開設してきました。ホットラインに寄せられた相談や質問に対しては、12年間の活動経験を生かし、組合内で相談受付研修を受けた労働組合員が対応し、問題にふさわしい相談先の紹介や緊急避難的なトラブル回避方法などを提示、また社内労働組合や社内の苦情処理・コンプライアンス遵守組織の利用法などをアドバイスします。東京以外の相談も受付け、全国の労働相談受付先の紹介などもいたします。
 
「2011春 雇用と労働のホットライン」次第
1、開設日時
2011年2月18日(金)~2月19日(土)、両日とも10時から20時
2、ホットライン回線番号
 
3、ホットライン開設場所
  労働組合ネットワークユニオン東京事務所
4、相談受付体制
 相談受付電話の置かれた事務所に、研修を受けた相談員を配置
 全国各地の労働組合にも協力していただきます。

2011年1月25日 (火曜日)

国会の召集、しかし派遣法改正は店ざらし。成立しない原因は、実は民主党にある?

昨日、通常国会が召集されました。内政・外交とも民主党政権にとっては、きわめて厳しい対応を迫られる論議が行われる国会になります。

労働の分野においては、一向に改善しない雇用情勢、社会保障システムの破綻という状況に対する政策をどうする?ということがあります。

そして、派遣法改正の問題。

派遣労働問題は、そもそも、民主党が政権を得るにあたって、その背景となっています。

自民党政権が市場原理主義のもとで、労働力の使い捨て政策を行ってきた象徴として、ほとんど全ての労働分野に蔓延して、労働者の生活を破壊した「派遣法」(派遣労働を大幅に自由化する法律)は、自民党政権末期の格差社会と労働者切り捨て社会を象徴するものでした。

「改正派遣法」は、この「派遣」という労働形態に縛りをかける(登録型派遣やスポット派遣、製造業での単純派遣は認めない)もので、これは不十分さを持ちながらも「口入れ・人身販売の蔓延」ともいえる、日本社会の労働者の状況を変える第一歩の法改正です。

しかし、これが、なぜか成立しないままになっています。

一方、自民党は臆面もなく「派遣労働が無くなると困る」「派遣労働で幸せになった」などというキャンペーンを行っています(単純派遣労働で「幸せになった」人がいったいどれほどいるのでしょうか?)。

さらに派遣会社は、その寄付を資金とし、その影響力が強いといわれる「東京大学社会科学研究所・派遣フォーラム」は「アンケート調査」の結果もとに(しかも、この調査は派遣企業などの会社を経由して行われているので、会社の意に反した答えをしにくい)、派遣法改正に反対のキャンペーンを続けています。

そして、派遣法改正は1年以上も国会で店ざらし・・・・。

成立しないのは、財界や派遣業界の反対だけが原因ではなさそうです。

まず、民主党の中の市場原理主義傾向の議員達、そして派遣労働によって労働力の値段を安く叩き、大きな利益を上げている企業のパートナー・同伴者たる大企業御用組合の存在があります。民主党の基盤の一つになっている大企業の御用組合は今春闘を早々と放棄してしまいましたが、それはそれとして、では大企業の下請け、系列で働く労働者、大企業組合が有る企業に関係している膨大な数の「非正規労働者」のための要求を掲げているのか? 答えは否です。

さらに、民主党の雇用・労働政策についてはどうか? そもそも、マニフェストが崩壊している現状では、なにが政策かわかりません。行ったことは法人税減税などの大企業保護、言っていることは格差の中で苦しむ労働者を直撃する大増税!

こう見てみると、派遣法改正が(しかも、派遣労働者の保護という面が語られていることのみ評価できる内容で、その後の更なる派遣規制が必要)、いつまで経っても国会で通らない原因は、自民党や財界・業界の抵抗よりも民主党にあるともいえるのでは?

(国会前のヒヨドリ)

2009年11月22日 (日曜日)

完全失業者はどれほど生まれているのか? 雇用調整助成金を食う企業がある現実。

久しぶりに書きます。

千駄ヶ谷のカワセミやスズメたちは、連日寄せられる。雇用と労働に関する相談、そして会社との団体交渉に追われ、ブログを書く時間すらありませんでした。それほど雇用情勢は深刻なのです。

民主党政権になっても雇用情勢は悪化する一方です。10年にも及ぶ自公政権の労働者切り捨て政策! 労働者をできるだけ安く、しかもいつでも使い捨てることができる部品として扱ってきた市場原理政策の害悪は、むしろこれからピークになると思われます。

民主党による「仕分け」作業は、労働者の生活を守るというより、民主党利害のためとも感じられてしまいます。民主党にも市場原理政策をとる議員がいること、そして「労組」出身議員は、特権的な大企業のユニオンショップ労組出身であることを忘れてはなりません。

総務省は完全失業者数が、「派遣村」を生んだ昨年よりもさらに悪化しているとの見通しを示した(本日付東京新聞)とのことです。9月時点の完全失業者は863万人、このままでは年末には昨年よりも90万人多い完全失業者が生まれるというのです。

「IT不況が深刻化し、過去最悪だった2003年4月の385万人に迫る状況」とも東京新聞は報じており、そして「雇用調整助成金」の効果がなかったら9月の完全失業率は6.4%に上っており、失業者はさらに72万6千人増えたという、みずほ総合研究所の試算を紹介しています。

現実は深刻です。私たちは労働相談活動を通じて、2003年の「IT不況」時と現在は全く様相が違うことを実感しています。

2003年当時は失業率が高まる一方で「過重労働」が問題となり「会社を辞めたいけど、辞められない」「長時間労働で身体をこわした」という相談が多くあったのです。そして労働者の賃金は現在よりも高かったのです。一方、一斉に正社員を派遣・契約(非正規)社員に置き換える動きがあり(労働分野における市場原理主義の本格化)、大企業や金融資本は、「いざなぎ景気以来の長期的好況」を謳歌したのです。政府と財界による政策的な失業率の高まりがあったのです。

しかし、いま違います。昨年来の傾向として、雇用調整助成金すら「食いもの」にしている企業があることを私たちは知っています。

助成金を受ける企業には、その資格を得るために「解雇」を行わないで、「自宅待機」「自然退社」「自己都合」として、労働者を放置し、離職票すら出さない企業、決して「解雇」とはせずに、退職は「自己都合」にこだわる企業が多くあるのです。辞める人が自己都合でなければ助成金はもらえません、また自己都合で「辞めてしまう」のであればまた、助成金がもらえます。一方、労働者の失業手当は期間が短く(減額)なります。

自宅待機(給与の大幅減額あるいは無給:一方的な不利益変更で法に違反する)はさらに問題で、解雇にも自己都合退職にもならずに、生活の糧を奪われる労働者が実に多く生まれています。これらの労働者の実質的「失業」は統計には表れません。

加えて、職を探してもまったく見つからないので、求職を諦める労働者も多くいます、この労働者は「完全失業者」の統計にはカウントされません。

民主党政府はいま「仕分け」に夢中ですが。その仕分けによって、雇用創出の前に、どれほどの労働者の生活が新たに生み出されるか? 政権政党は重大な責任を持っています。結局は民主党も市場原理主義で労働者を切り捨てただけ、と言われないような雇用政策を打ち出せるのでしょうか?

(越冬カワセミ)

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