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2017年3月13日 (月曜日)

月100時間、2ヶ月連続80時間の時間外労働!過労死労働の合法化は許されない。

政府の「働き方改革会議」は、時間外労働時間の上限を月100時間、2ヶ月連続で80時間の水準に定めたようです。

まさに過労死水準の合法化です。

月100時間の時間外労働とはどのようなものなのか?

まず朝9時に出社。12時から13時まで昼休み。13時から18時までまた働き。法を守るならば、ここで30分休憩。そして時間外労働時間に入り。月の労働日が22日ならば、そこから4~5時間働く。時間はすでに23時にもなろうとしています。そして退勤(これは早出や残業において、カウントされない「サービス時間」=早出で書類やファイルの整理あるいは掃除をするとか、昼休みも電話が来たら仕事するとか=がない場合です)。

通勤に片道1時間かかる人は(ただし時間が遅くなると、より以上通勤時間がかかる)、夜中の0時前後に帰宅です。途中コンビニに行ったり、家に戻ってからシャワー浴びたり、雑事をこなせば寝るのは早くて深夜2時頃(途中で眠りに落ちるかも)・・・。

で、また朝は8時前には起きなければなりません。これでは会社のための奴隷です。自分お時間は全くありません。そして疲れ切って。土・日・祝祭日は休むだけ。

これが月80時間労働でも同じようなものです。大差はありません。

政府は、そして大企業企業組合の寄り集まりの連合は、これをもって「働き方改革」とするのですが・・・・。

「汝臣民、過労死せよ」。です。

2017年3月10日 (金曜日)

基本は週40時間労働。月80-100時間の時間外労働法制化には大反対。

残業時間(時間外労働時間)の法的上限をどのようにするか? 政府の「働き方改革実現会議」の議論について、マスメディアはしその上限について、80時間(連合の主張)と100時間(経営側の主張)の意見が対立したままになっていると伝えています。

いずれにしても、過労死ラインと言われている月80時間以上について、それを認めるかどうかという話で、労働者の生活と健康を配慮した議論には全くなっていないのです。

そもそも、1日の労働時間は8時間、1週間で40時間という法的規制があります(労働基準法)。百年以上まえから労働運動では1日8時間労働を前提とした要求が作られ続け、そしてそれはヨーロッパの民主主義体制を取る先進諸国では実現されています。

1960年代に先進諸国は飛躍的に伸びた生産力と、民主主義体制に支えられて「豊かな時代」を迎え、労働者は「余暇時間」を楽しむはずでした。

労働分野での後進国ともいえる日本でも、30年ほど前までは週40時間労働の実現が目前と思われる状態でした。労働者は「おいしい生活や」「いい日旅立ち」を満喫するはずでした。

しかし、そのような状況は大きく変わりました。労働組合の交渉力の低下、労働組合の企業内組合化と人事の補完システム化、そして成果主義・実績主義賃金の導入、企業の利益配分における労働者の比率の低下、潜在的かつ深刻な労働力不足が、じりじりと労働時間を伸ばし、いつの間にか月100時間、120時間という時間外労働が常態化し(持ち帰り労働を含めれば更に長時間)、労働者の過労死が社会問題化する日本になってしまいました。

このままでは、日本は労働力を確保できなくなります。それは労働力を最大の資源として利益を生む企業活動の後退を意味します。だからこそ、いま政府は労働問題に力を入れています。その基本は労働者の生活と健康にはありません。あくまでも企業活動の保護です。日本を世界で一番企業が活動しやすい国にするという安倍政権が「働き方改革」に力を入れるのはこのためといえます。

しかし、あくまでも企業のための働き方改革。だから労働者は死なない程度に、フル活用する。時間外労働について、この政府の姿勢は全くぶれません。ぶれるのは企業活動に縛られている日本の「労働者代表」である企業組合組織の「連合」。

繰り返して書きますが、現在、労働基準法で定められている1日の労働時間の上限は8時間、1週間で40時間です。これが基本。そして労働者の代表と使用者が協定をすれば、この週40時間の上限について脱法的に認められる。これがいわゆる36協定です。だからこの36協定は、企業活動についての緊急避難的な意味合いがあります。そして多くの場合、この時間外労働の上限は月45時間で定められています。ただし、ここに例外措置があって、「特別な事情」がある時にはまた別の時間外基準が認められるとされているのです。これを「特別条項付36協定」といいます。今問題になっている80時間とか100時間の問題はここについてです。つまり、例外を認める36協定のさらに例外の過重労働時間について、いかに法定化するかという問題なのです。

そして、政府の「働き方改革会議」の流れからすると、このままでは月80時間とか100時間の時間外労働が「合法化」するということになってしまうのです。これが今回の時間外労働問題の核心です。

そんな!? まさか?と思っている? 

いつも緊急避難時な仕事、急な仕事をこなさねばならない、下請け企業労働者。いつも「ありえない」トラブルに見舞われているIT業界労働者にとって(つまり常に「特別条項付き36協定の対象になっている、日本の多くの労働者にとって)、この時間外労働限度時間の法定化は,過労死労働時間の合法化になってしまいます。

だから、下請け、IT企業の労働者がほとんどの私たちユニオンは、この時間外労働限度時間の法定化には大反対なのです。

私たちの要求は1日8時間労働、週40時間の実現と、8時間労働で生活できる賃金(多くの残業をしないと暮らせないという現状は、本末転倒です)、8時間労働の賃金で健康で文化的な暮らしが出来る社会の実現です。

2017年1月17日 (火曜日)

「うつ」の治療は薬離れの時が難しい(ゆとりをもって、ゆっくりと)

職場での過重労働やハラスメントに遭って鬱になった人達、わがユニオンにも多くの方々が相談に来られ、そして治療を受けて「治って」いきました。

「うつ病」はストレス要因から離れて、ゆっくりと治療すると治るものなのです。ただ、この治療の期間については、当人や周囲(家族や同僚)が思うよりも長いのが現状。ところで、問題はこの「長さ」が会社が定めている病休期間や保険組合からでる「傷病手当金」支給期間と合わないこと。だから、治療半ばで「復帰」してしまい、そしてまた再発するケースがあるのです。

もともと、「うつ」になる人は仕事人間が多くて、これは「仕事をしない」期間を短くしてしまいがち。それに、いろいろな本や資料やWEB上の情報に、あまり「うつ」の治っていく状態の情報が無いという問題もあります。

カワセミの周辺の「うつ」の人達も、「治る」段階では、かなり「早め」に「治った」ことにしているような気がします。

「もう、大丈夫だから」とか「医者に行かなくても良いようだ」とか、こういう言葉が治療を始めてから数ヶ月で聞かれるようなら、「それは違うだろ」「薬が効いて治った感じがするだけ」とか「治る時の、いわゆる三寒四温によるだろ」と思うのですが、これが、治療を始めてから1年あるいは1年半という期間を経ていると、なかなか傍からは(まして医者でも無い身には)判断できません。

一つの目安は、処方される薬。これがゼロになれば、ほぼ「復帰」のタイミングと思われます。薬の処方が「治る方」の最後はどうなのか?

実は、以外に最後まで治療を受けている人が少ないのです(会社に復帰しても良い。業務ができる、と言う医師の診断は、イコール「鬱が治った」ではなく、「仕事してよいところまで治った」です)。

うつ、休暇期間は(社内制度によるものも含めて)、できる限り多く取るのが良いと思います。

2013年1月10日 (木曜日)

「ブラック企業」手法が蔓延する日本。基本はカルト対策と同じで、企業から離れること。

今野晴貴さんによる「ブラック企業」(文春新書)には、ブラック企業を知る入門書としては最適です。

ブラック企業とは、「黒い世界の会社」、つまり暴力団関係の企業と言う意味でなく、脱法行為(ときは違法)を繰り返して、労働者の心身ともに支配し、労働者の健康を壊し、そして「成長」あるいは「生き残る」企業のことです。マスメディアで大々的に宣伝をしている企業もあります。

「ブラック企業」ははじめ、主にネット上の言葉として登場してきました。今野さんは、この言葉が広く若ものに使われるようになったのは「2010年の末」としていますが、私たちのユニオンの相談受付でも、この言葉が、相談を寄せる人の側から発せられるようになったのは、だいたいその頃です。

「これって、ブラックですよね」とか相談者はいいます。また、その頃にはわがユニオンに多くいるIT労働者たちが「○○社、あそこって完全にブラックすで」とかとも言い始めました。

ブラック企業の定義はさておき、問題はいまや、このブラック企業が日本に蔓延しているということです。いまの首相である、安倍某からして、前に総理大臣だったときに「残業代は払わなくて良い」などという「ホワイトカラーエクゼンプション制」の導入を図ったわけですから、ある意味でブラック企業の後ろ盾ともいえるので、労働者の心身をむしばんでゆくブラック企業の経営陣は、いま、我が世の春を謳歌しているのかもしれません。

ブラック企業に対しての対応法は、「企業の社内論理よりも、法が優先」「会社の利益よりも、自分のからだが大事」という視点をもつことです。そして、心身ともに壊れる前に、必ず企業の外に相談の場を持ち、企業の外にある日本の法と、労働者保護制度を活用しながら(当然、労働組合もその一つですが、ブラック企業となっている会社のいうなりの企業内組合=御用組合は使えません)、失われたもの(未払賃金とか、壊された心身とか)を取り返す方法を考えることです。

なかには経営者のカルト的な価値観を労働者に押しつける企業もあるので、基本はカルト対策と同じと思っても大筋で間違いはありません。

今野さんの本を読んで、改めて感じたことに、ブラック企業の「人員整理」のしかたの悪辣さがあります。

かつて、私たちユニオンが結成されたころ(1998年)、世の中はリストラの嵐の末期ともいえる状態で、各企業には「人員整理屋」「人切り担当者」がいて、嫌がらせを伴う猛烈な退職強要を行って、それは時にはマスメディアで叩かれることもありました。しかし、それは、あくまでも人員削減(リストラ)の方策としての、嫌がらせ、退職強要で、それが終わると、今度は「人員整理屋」が不要となり、そして「リストラ」されました。

しかし、ブラック企業は違います。どこが違うか? それは企業のシステムとして人員採用段階から、違法な過重労働を前提にして、嫌がらせや退職強要を人事の恒常的システムとして、企業利益に直接結びつけています。労働者の心身破壊をシステムに組み込んで、これをエネルギー源として企業活動を行うのが「ブラック企業」です。

ブラック企業は一掃されなければなりません。

で、今日も1件、ブラック企業で働いている労働者からの相談がありました。最低でも月100時間の時間外労働、しかし、実際は20時間分しか払われないで、身体をこわしたら・・・。人事が「きみを雇うわけにはいかない」云々・・・・。

(かわせみ)

2013年1月 8日 (火曜日)

IT技術者の低賃金化と、「バーチャル会社」での過酷労働

IT労働者が高給を取っていたのは遙か昔のこと。私たちNU東京が結成された当時(1998年)は、年収500万以下のIT労働者は、「え? 仕事内容にしては賃金安いんじゃないの?」などという会話も良くあったし、年収1000万程度のIT技術者もまたまだユニオンの周りにいました。

しかし、いまは、一部上場企業の管理職技術者でも、なかなか1000万レベルはいません。そのレベルを確保するには上場企業が作った下請け会社の取締役の地位に収まるか(じつは本社から追い出されている)、自ら起業して「成功」する他はなくなっています。

IT労働者の低賃金化の背景には、自社ソフトを開発している企業が成り立たなくなり、「派遣」「業務委託」企業化しているということがあります。このような場合、かつては10人程度のソフト開発会社が数百人規模の会社になったりしますが、労働者の賃金は上がりません。ただ、使い捨てのパーツとしての労働者がそこにはいます。また、企業の経営者も「技術畑」から「営業畑」出身者が多くなり、技術職の人間を軽く見る傾向が生まれます。

それで、まだ、会社が何ものかを作っている、あるいは作っている会社の末端にいれば、IT労働者はそれなりに、働きがい?もスキルアップもあり得たかもしれません、しかし、最近はもっと過酷な労働現場が生まれています。

最近、Web上で詐欺的な商売をしていたベニーオークションが話題になりました。幾人もの有名芸能人がそのサクラになり虚偽のコメントを載せていた事件です。

じつは、このような詐欺的組織にも、雇用されているIT労働者が必ずいます(Webサイト管理や、システム構築あるいは簡単なソフト作り、ゲームの管理)。そこでの労働条件がどうなっているのか?

いまや、インターネットなしには経済活動が出来ないような世の中ですが、インターネット上に咲き乱れる「店舗」や「情報発信サイト」のうち、どれほどまでがまともなのでしょうか? 占いサイトに、出会い系サイト、情報交換サイトや人の紹介サイト? それらには数名から数十名のIT労働者が働いています。そして、その労働条件たるや劣悪そのもの、労基法などは全く無視の、労働時間あたりの賃金が500円を超えない違法労働が横行しています。

働いているのは20歳前後から20代中頃までのIT技術者たちが多く、雇われ社長(誰に雇われているかは不明の場合も)も20~30代! かれらは会社に寝泊まりし、十分な休みもなく働き続け、そして身体をこわしていきます。その数たるや全国に何万人いるのでしょうか? 私たちが昨年から今年にかけて相談を受けた数社でも、数百人を超えます。

なかには、会社の実態がない会社もありますから、このような「Web上の会社」で発生した未払い賃金をどうするかというと、その取り立てはなかなか難しい。過重労働で身体をこわして休み、その後会社に行ってみると跡形もなくなくなっていた、なんて話もあります。

労働局やら労基署は、このようなバーチャルな会社の問題には、本気になりません。アドバイスは「裁判をやったら」とか「労働組合に入ったら」とか・・・・。つまり門前払いです。

IT労働、Web上での経済活動に対しては、そこに働く労働者の保護と、積極的な労基法違反の取り締まりが必要です。

労働者には、バーチャル会社の過酷労働の中での未払いに対しては、すぐに会社を辞めて、すぐに未払賃金い請求を起こすことを勧めます。

最後に、このようなバーチャル会社の多くは、自らの系列(あるいはその「会社」が)、求人・求職サイトを立ち上げて、そこで人集めをしていることがあります。このような「食虫植物」的な会社に要注意!

(カラス)

2012年12月 7日 (金曜日)

日本には労働者のただ働き根絶、過重労働の解消、そして経営者の法違反根絶が必要。

ブログを再開する、と2月以上前に書きましたが、定期大会とか何とかで新たなアップができませんでした。

アップせねば、と思っているうちに衆院選は中盤にさしかかり、年末大掃除やら忘年会のスケジュールがどんどん入り始め・・・・。これはまずい。

ということで、思いつくまま書きます(ブログはまずは書くことですね)。

気になることは山ほどあります。

まず、年を追うごとに過重労働で心身を壊し、長期休職している人たちからの相談が増えていること。これには、昨年3月以降の大震災の後遺症も(震災後急に過重労働になったり、仕事内容が変わったり)含みますが、それが無くとも、日本の「労働者」はいま、過重な労働の日々を過ごす労働者か、あるいは失業者かに大別されるという状況があります。

そして、過重労働により休職している労働者、あるいは休職を望む労働者に対しての退職強要が後を絶ちません。これには、圧倒的に買い手市場となっている「労働力市場」も影響しています。いくらでも使いすれられると思う経営者が実に多い。少なくとも寄せられる多くの労働相談からはそう感じます。

労働者保護の制作が必要なのですが、日本の企業組合の集まりである連合とそれが支持している民主党は、結局これを行わず、派遣法、有期労働法制などでは労働者使い捨てシステムを強化しただけで、まもなく政権を追われます。

しかし、そのあとに来るのは・・・、最低賃金制をなくすとか、解雇を自由にできるようにするとか声高に叫ぶ日本維新の会とか、元々そのようなことを公言していた自民党? そうであるならば日本の労働者の生活と健康はさらに破壊されてしまうのです。

いまの日本の沈んだ状況は、TPPでも、金融緩和でも、ましてや全体主義的な愛国主義の大合唱では解決しません。徹底した労働者保護、労働者のただ働きや、経営者の労働諸法違反を根絶してゆくこと、それは働きがいのある日本を作ることだと思います。

やや話が大きくなってしまいましたが、今日は、ここまで。

(かわせみ)

2011年1月14日 (金曜日)

寒い中、最小不幸社会について、震えながら考える。

寒い日が続いています。失業状態や、低賃金で十分に暖を取れない状況にある労働者にはきつい冬です。

そんな中、菅直人内閣が改造されました。そのことについては、ここであれこれ言う気はありませんが・・・・。

菅直人政権が掲げている「最小不幸社会」というのは、なんなのでしょうか?

政治の力で無くすことができる「不幸」はできる限り取り除いてゆくということらしいのですが・・・・。

それは、とにかく幸せになるべき人は政治の力で(あるいは社会・経済システムで)ドンドン幸せにしてゆこう、という「最大幸福社会」(いまの中国がそうかな?)よりは、格差・貧困が蔓延して、生活苦にあえぐ人が沢山いる、いまの日本にはふさわしいスローガンなのかもしれません。

しかし、日本の政府が「最小不幸社会」と言っても、なぜかピンと来ない。格差は一向に無くならないし、「最大幸福」を求める闊歩している人々は、そのままだし・・・。事業仕分けも、結局、天下りや富裕層の既得権益は守られて、「仕分け」される職場の労働者や、その下請け労働者だけが割を食うようだし・・・。

民主党政権下で、他に目立つことといえば、大企業だけが得するような法人税減税(それって「最大幸福」?)を行ったことぐらいでしょうか? 

さらに、消費税率の大幅アップが検討されている(というか菅政権では規定方針か?)ようですが、貧困・格差が蔓延する中での消費税大増税は、間違いなく富裕層に利するはず。結局は「最小不幸」とは、社会で不幸になるのは「最小」(弱いもの)ということになるのでは?

いま、日本にはタイガーマスクが、各地に出現しています。これは、いつまで経っても「弱者」が苦しみ続けている日本にあって、政治・行政が機能しないのなら、せめてもと、有志・篤志の人々が「最大幸福」から転身して「最小不幸」を実現しようとしている、ということと思えます。

政治・政策無き、「最小不幸」草の根運動でしょうか?

そういえば、労働組合は「最小不幸」運動かな? いや、大企業富裕層による企業内組合の活動は「最大幸福」か?

いずれにしても、分かりにくいです。「最小不幸社会」論。

(着たきり雀)

2008年9月 4日 (木曜日)

自民・公明案の「残業月60時間以上で5割増賃金」は、過重労働を生むだけ。

時間外労働無しで暮らせる社会を!

福田政権は崩壊しましたが、崩壊の前に、政府与党(自民・公明)は、時間外労働について、1ヶ月60時間以上の労働について5割増賃金を支給するという労基法改正案をとりまとめたとされます。

---自民、公明両党は28日、現行は一律25%の時間外労働の賃金割増率について、月に60時間を超える部分は50%とすることなどで大筋合意した。長時間労働を強いる企業に負担増を求め、労働時間短縮を図るのが狙いで、日本経団連も容認する構え。与党は野党とも協議したうえで、国会で継続審議となっている労働基準法改正案を超党派の議員立法で修正、9月12日召集予定の臨時国会で成立させる方針だ」(8月29日、毎日新聞記事)---

この時間外労働については、当初は経済界・自民党側が「80時間以上で5割増」としていましたが、月80時間という時間外労働が、過労死水準にあることから大きな批判を浴びていたものです。

では、月60時間ならば良いのか? 

そもそも、現労働基準法で定められている1日8時間、週40時間労働とは、これ以上働かせてはならないという基準です。なぜならば、労働者は生活のために雇用されて働きますが、そのためには睡眠時間などの最低8時間の休息、そして食事や「自分のため」に最低8時間が必要だからです。この1日8時間労働の考え方は労働組合運動によって100年以上前に確立しました。

しかし、日本ではこれが疎かにされてきました。賃金が安いから時間外も働かなければ生活できない、あるいは時間外をただ働きすることで一定の賃金が支払われるというのが現状です。この現状こそ変えていかなければなりません。

一昨年。自民・公明政権は、時間外労働について賃金を払わなくても良いとする「ホワイトカラーエグゼンプション」を改正労働基準法に導入しようとして、国民の猛反発を受けました。また、「管理職」「店長」という肩書きがついているためにいくら働いても時間外労働賃金が払われずに過重労働で苦しんでいる「名ばかり管理職」の問題も社会的に大きく注目されました。

ホワイトカラーエグゼンプション問題、長時間労働問題の根底には、人間を単に利潤を生むための道具・機材としか思わない考え方があります。だから、たとえ長時間労働でも、賃金を払いさえすれば良いという(法的に定めれば問題ない)という考えも安易に出てきます。

しかし、人間は自分の時間を持つ権利があり、憲法でも健康で文化的な生活を営む権利は保障されています。

残業は基本的に禁止、そして、週40時間労働でも健康で文化的な生活を送れるような政策と社会が求められているのです。現行の労働基準法で1日8時間労働、週40時間労働が定められている意味は、この労働時間が一つの限界ということなのです。

もし、自民党・公明党の思惑通り法改正が行われれば、現行では労働基準法36条で、労使の協定によって残業・時間外労働時間を定めることとなっている(多くは30時間から50時間の協定が結ばれている)ものが、無制限に60時間までの時間外労働が行われ、加えて60時間を超える労働すら蔓延する恐れがあります。

週60時間の残業を、割増賃金を払えばよしとする、自民党と公明党の考えは、根本的におかしいといえます。

(秋の雀)

2007年9月21日 (金曜日)

働き過ぎでつらくて、あるいは病気で会社を辞めたいと思ったら。まず休みましょう。

ユニオンには「会社を辞めたい」という相談、「辞めるにあたっての条件交渉がうまくいかない」という相談が多く寄せられています。

深夜に及ぶ残業(賃金が支払われない不法なケースが目立ちます)や休日出勤で身体がもたないので辞めたい人、過重労働が原因と思われる「うつ」「自律神経失調」でもう働けないので辞めたいという人が、会社に「辞めたい」と言ったところ「辞めてもらっては困る」といわれたり「会社に損害を与えるのか」と強く留意されたり脅されたりして、困り果ててしまう事があるようです。

また、辞めるにあたって、先に「辞める」といって辞表(退職届)を提出した後に、残余の年次有給休暇や代休の取得を求め、これを断られるケースもあります。

トラブル回避のポイントは、「辞める」とは言わないことなのです。

ではどうするかというと。「休む」ことです。体がきつくて働けないのなら、まず休むことが必要です。残余の有給休暇などを使うこと。そしてきちんと医師の診断を受けて、休養が必要である旨の診断書を書いてもらいましょう。会社にきちんとした病休制度があればそれを活用しましょう。

身体をこわした状態、うつで働けなくなった状態で会社を辞めても、次の仕事はなかなかありません。また、「うつ」の場合は、自分の人生の転機ともいえる「転職」にふさわしい状態ではありません。

きちんと休んで体調を整えることが必要です。

ときどき、「辞めたいと」いう相談を寄せながら「休んでしまうと仕事が滞る」とか「休むとその後不利になる」とかと言う「会社人間」の典型みたいな方がいますが、よく考えてください。「辞めるより休むほうが難しい」などというのは本末転倒なのです。休んでみて、そして少しでも体調を整えてから、今後のことを考えましょう。

2007年5月18日 (金曜日)

会社を辞めるのは自由。無理には働かない。

数年前から、会社を辞めたいのだが「辞めさせてくれない」という相談が目立つようになりました。また、会社を辞めたら賃金が払われなくなったとか、辞めた後も自宅に電話が入ってくるなどの相談も寄せられています。

労働者が会社を辞めるのは全く自由です。雇用契約の内容(期間を定めた契約の場合は要注意です)によりますが、辞める2週間前までに辞職する趣旨をきちんと(文書などで)伝えればよいのです(会社毎の方法や辞職願の書式がありますが、それも度を超えて煩雑なものや、「上司の許可」が必要なものは明らかに不当といえます)。

人手が足りないからとか、仕事の都合があるからとか、辞めることを強引に引き留める会社や上司がありますが、労働者の自由意志を強制的に変えようとすること自体が不法といえるのです。

昨日(5月17日)の東京新聞の記事によると、零細出版社につとめていた女性が、会社を辞めさせてもらえずに自殺に追い込まれたケースが「労災」に認定されたといいます。労災は当然のことですが、労働者を死に追いやった経営者の責任は重大です。

また、「辞めさせない」「辞めることができない」会社の多くに労働時間、賃金支払い、年次有給休暇取得、雇用保険への加入などにおいて重大な法律違反、あるいは無視が認められます。

時間外労働賃金を払わない会社や、有給休暇を認めないような会社は、一発レッドカードです。辞める気になったら長居は無用です。

働いた分の賃金未払いや残業代未払いについては辞めてから請求しましょう。ただし、実際に働いていたという記録が必要です。働いた時間、働かされた休日については、きちんと記録を残しておきましょう。

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