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2018年4月 4日 (水曜日)

定年後再雇用問題に見る。政策の矛盾と「働かせ方改革」

定年後の極端な労働条件低下(賃金75%カット)は高年齢労働者雇用安定法(高年法)の趣旨に反するとして争われた裁判(福岡地裁、福岡高裁)の上告がなされたことについて、最高裁判所は会社が労働条件面で雇用継続できなかった労働者に100万円の慰謝料支給を認めた福岡高裁判決に対する上告を退け、高裁判決が4月1日付で確定しました。

つまり、60歳再雇用以降の労働条件の著しい切り下げは、高年法の趣旨からいって認められないという最高裁が判断したわけです。

この裁判の場合、会社が労働者に提示した60歳以降の賃金が75%カットという、異常な減給(フルタイムが認められずにパート勤務を求められた)、ということもありますが、これまで、高年法で一応65歳までの継続勤務が認められたものの、その賃金が異常に低額で、働こうにも働けないような条件なので継続雇用をあきらめたという問題は多く存在しています。少し前にこのブログでも取り上げた東京のH社の不当労働行為問題にもそれがありました(雇用継続条件が半額程度でした=この問題についてのブログ記事は、裁判で和解が成立したために削除しました)。

今回の最高裁の判断は、このように働きたくても働けないような、継続雇用に関する劣悪な労働上条件が提示され、労働者が継続雇用を断念したとき、労働者に慰謝料を会社が払わなくてはならないというもので、ある面画期的です。

しかし、問題の本質はそこにはありません。そもそも、高年法は政府が年金制度破綻を取り繕うために導入した制度ともいえ、基本は年金支給年齢を遅らせて、それまでなんとか、労働者には働いて貰って年金支給がなくても良いようにする、という発想から成立したといえます。また「働き方改革=働かせ方改革」でも「多様な働き方」などといって、結局低賃金労働、働く側の自己責任を打ち出そうとしています。その基本には労働者の生活と権利を守るという発想はありません。だから60歳以降の継続雇用に関しての労働条件については曖昧です。そして少しでも安く労働者を使いたい企業は、この雇用継続にあたって驚くべき低賃金の提案や、働いて欲しいときだけ働いてもらうパートでの雇用とかを平然と行っているわけです。

60歳までの労働者と60歳以降のしばらくの間、労働者の労働の質が大きく変わるはずはありません。しかし、企業はここで人件費を大いに浮かそうとする。単純に考えても、基本的な労働の部分(役職手当とかは別として)大きく変わらないはずです。役職手当などを引いた分の賃金が保障されるのは当然のことで、企業側の継続雇用条件の提示にあたっては、合理的な条件を示すべきであり、また、人材不足が急速に進行している今の日本では、合理的な雇用継続条件を示せる企業だけが人材を確保できるのではないかと思います。

政府はいま、70歳以降の定年を視野に入れ始めています(つまり年金の70歳以降支給です)。

 このため「高年法」の「高年齢」という言い方も変わるかもしれません。日本の労働力不足と、年間50万人以上の人口減少が続く状況になったことを考え合わせると、60歳以降の労働条件が著しく劣化しない法整備が必要であり、また、一方では、60歳以上働かざるを得ないようにした政府の年金政策に対する責任追求と、国民の半数以上の貧困層と比較的低所得層を死ぬまで働かせる「改革」となりかねない「働き方改革」(安倍政権は「多様な働き方」は「死ぬまで働く」とも取れます)の根本的批判、社会格差の解消が必要です。

2017年6月 2日 (金曜日)

日本は労働者不足。こんな時は、キチンと要求。

4月の有効求人倍数が1.48倍となって、バブル経済時の水準を超えたという。

「4月は完全失業率も2.8%と低く、雇用情勢は「売り手市場」の様相を強めている」と、5月30日の日本経済新聞は書いている。

人手不足(労働者不足)は、実はここ10年ほどの一貫した傾向でもある。そもそも、日本の総人口(労働者人口)が減少に入り、20XX年には1億人を切る」とは、いまや常識になっている。社会的格差の拡大(大多数者層の貧困化)と市場原理主義による福祉・社会保障の切り捨てが、子供を作りたくても作れない、生んでも育てられない、そもそも、結婚する気になれない、という世の中を作り出しているのだから、この人口減少には歯止めが全くかからないのだ。

だからこそ、政府は「高齢者」年齢を、次々と引き上げて、人々がいつまでも働けるような方向性を打ち出している(つまり、社会保障制度は破綻しているし、労働力不足が全く解消しないので、死ぬまで働いてください、ということ)。

安倍政権の「働き方改革」の方向性は、昨年あたりから明らかに、この「死ぬまで国民全員で働く」方向性を強めているのではないか?そして、一方では安倍・麻生のような富裕層は、自らの周りに利権腐敗を産み出しながら、ますます豊かになっていく。これが今の日本の姿であろう。このよな姿を変えよう!と、社会の変革を志して、興奮して少しばかり口滑ったり、やや過激にパロディ的なパフォーマンスを繰り広げようものなら、「体制の変革」を図る「テロ行為」とも言われかねない。「共謀罪」とはそのようなものであると思う。

で、今の日本は人不足、いくら外国籍労働者を急ぎ導入しようとしても、なかなか追いつかないし、研修とか、個人事業とか、ありとあらゆる名目で「労働基準法」などの法の網の目をくぐらせて、日本で外国籍労働者を無権利と不当な労働条件で働かせても、それは明らかに限界がある。

とにかく、職場にいない状態は、その職業が成り立たない状態である。大企業などは盛んに「青田買い」を行い、労働者の確保に躍起だが、中小零細企業は潰れるほかはない、ブラックな企業ならばこの世にはない方が良いが、日本の産業基盤である中堅・中小企業が立ちゆかなければ、日本は確実に終わるのである。いくらオリンピックやら観光産業やら、博打(カジノ)産業に力を入れても、ダメなのである。

だからこそ、私たち労働者や労働組合は、労働者がキチンと働ける職場環境や、生活できる労働条件を強く政府や企業に求めた行くべきだ。これが労働組合の基本であると思う。

なにしろ「原資」はある。

一握りの富裕層の取り過ぎをはき出させても良いし、森友や加計にみられるような金権腐敗、高級官僚の天下りなどが成り立たなくするだけでも、ずっと労働者の労働条件は良くなる。

しかし、こういうことを書くことが、やがて「テロ」的な言質となって、「共謀」として罰せられるようになるかも・・・・。それほど、安倍政権の「改憲」や「共謀罪」への思い込みは強い。彼らは、それなりに問題の本質をつかんでいるからだと思う。

2016年4月13日 (水曜日)

NU東京の次回土曜相談は4月16日です。

ネットワークユニオン東京の土曜電話労働相談、次回は4月16日です。

相談受付時間は13時~17時。

相談を寄せられる方には、雇用契約書、就業規則などの雇用に関わる文書を手元に置かれて相談電話をかけていただくと効果的です。(そのような文書がなくても、雇用問題の経過をまとめて手元に置いておかれるとよいと思います)

なお、5月1日のメーデー、NU東京は日比谷野外音楽堂で開催される「日比谷メーデー」に参加いたします。

2013年2月25日 (月曜日)

東京管理職ユニオンなどが3月17日(日)と18日(月)に改正高齢者雇用安定法に関する労働相談ホットラインを開設。

4月1日から改正高齢者雇用安定法が施行され、雇用延長を望む労働者に対して、雇用主は65歳までの雇用延長が可能な雇用システムを導入することになります。この雇用延長が可能な雇用システムとは、定年制度の65歳までの延長や、定年制度とは別の雇用延長制度の導入ということになりますが、この制度の施行に当たって雇用条件の著しい不利益変更や実質上の退職勧奨が行われる恐れもあります。

たとえば、定年制の年齢引き上げ以外の雇用延長制度においては、あくまでも「雇用延長」を第一とするために、契約社員雇用、パート雇用もあり得るわけです。この場合大幅な減給が予想されます。また、正社員との福利厚生の格差が生じる恐れもあります。

さらに、この雇用延長後の労働条件の決定については定年年齢の引き上げでない場合には、雇用継続を希望する労働者と雇用主の間での合意によることになりますが、労使間の力関係が圧倒的に雇用主に傾いている日本の現状から見て、不当に低い労働条件で雇用延長時の労働条件が決められる恐れもあります。

不利な条件で雇用延長の条件を結ばないために、労働組合に加入して(個人で加入できる合同労働組合など)会社と交渉をしましょう。

また、以下の通りこの高齢者雇用安定法の改定施行に先立って、労働相談ホットラインが開設されますので、利用してみましょう。

☆新高年法(改正高齢者雇用安定法)労働相談ホットライン

☆日時:3月17日(日)と18日(月)に10時~19時

 開設場所(問い合わせ先)

 東京管理職ユニオン(池袋) 電話03-5957-7757

 全国一般労働組合東京なんぶ 電話03-3434-0669

☆NU東京でも相談受付

 NU東京でも雇用延長問題にこの間取り組んでいます。

 電話03-5363-1091(平日の12~19時に受付)

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