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2017年3月10日 (金曜日)

基本は週40時間労働。月80-100時間の時間外労働法制化には大反対。

残業時間(時間外労働時間)の法的上限をどのようにするか? 政府の「働き方改革実現会議」の議論について、マスメディアはしその上限について、80時間(連合の主張)と100時間(経営側の主張)の意見が対立したままになっていると伝えています。

いずれにしても、過労死ラインと言われている月80時間以上について、それを認めるかどうかという話で、労働者の生活と健康を配慮した議論には全くなっていないのです。

そもそも、1日の労働時間は8時間、1週間で40時間という法的規制があります(労働基準法)。百年以上まえから労働運動では1日8時間労働を前提とした要求が作られ続け、そしてそれはヨーロッパの民主主義体制を取る先進諸国では実現されています。

1960年代に先進諸国は飛躍的に伸びた生産力と、民主主義体制に支えられて「豊かな時代」を迎え、労働者は「余暇時間」を楽しむはずでした。

労働分野での後進国ともいえる日本でも、30年ほど前までは週40時間労働の実現が目前と思われる状態でした。労働者は「おいしい生活や」「いい日旅立ち」を満喫するはずでした。

しかし、そのような状況は大きく変わりました。労働組合の交渉力の低下、労働組合の企業内組合化と人事の補完システム化、そして成果主義・実績主義賃金の導入、企業の利益配分における労働者の比率の低下、潜在的かつ深刻な労働力不足が、じりじりと労働時間を伸ばし、いつの間にか月100時間、120時間という時間外労働が常態化し(持ち帰り労働を含めれば更に長時間)、労働者の過労死が社会問題化する日本になってしまいました。

このままでは、日本は労働力を確保できなくなります。それは労働力を最大の資源として利益を生む企業活動の後退を意味します。だからこそ、いま政府は労働問題に力を入れています。その基本は労働者の生活と健康にはありません。あくまでも企業活動の保護です。日本を世界で一番企業が活動しやすい国にするという安倍政権が「働き方改革」に力を入れるのはこのためといえます。

しかし、あくまでも企業のための働き方改革。だから労働者は死なない程度に、フル活用する。時間外労働について、この政府の姿勢は全くぶれません。ぶれるのは企業活動に縛られている日本の「労働者代表」である企業組合組織の「連合」。

繰り返して書きますが、現在、労働基準法で定められている1日の労働時間の上限は8時間、1週間で40時間です。これが基本。そして労働者の代表と使用者が協定をすれば、この週40時間の上限について脱法的に認められる。これがいわゆる36協定です。だからこの36協定は、企業活動についての緊急避難的な意味合いがあります。そして多くの場合、この時間外労働の上限は月45時間で定められています。ただし、ここに例外措置があって、「特別な事情」がある時にはまた別の時間外基準が認められるとされているのです。これを「特別条項付36協定」といいます。今問題になっている80時間とか100時間の問題はここについてです。つまり、例外を認める36協定のさらに例外の過重労働時間について、いかに法定化するかという問題なのです。

そして、政府の「働き方改革会議」の流れからすると、このままでは月80時間とか100時間の時間外労働が「合法化」するということになってしまうのです。これが今回の時間外労働問題の核心です。

そんな!? まさか?と思っている? 

いつも緊急避難時な仕事、急な仕事をこなさねばならない、下請け企業労働者。いつも「ありえない」トラブルに見舞われているIT業界労働者にとって(つまり常に「特別条項付き36協定の対象になっている、日本の多くの労働者にとって)、この時間外労働限度時間の法定化は,過労死労働時間の合法化になってしまいます。

だから、下請け、IT企業の労働者がほとんどの私たちユニオンは、この時間外労働限度時間の法定化には大反対なのです。

私たちの要求は1日8時間労働、週40時間の実現と、8時間労働で生活できる賃金(多くの残業をしないと暮らせないという現状は、本末転倒です)、8時間労働の賃金で健康で文化的な暮らしが出来る社会の実現です。

2017年1月31日 (火曜日)

セブンイレブンのバイトが風邪で休んだら10時間分減給。ブラックにもほどがある!

セブンイレブン加盟店(東京都)が、風邪で欠勤したバイト店員に罰金を課したという報道がありました。25時間働いたのにも拘わらず、二日間欠勤したこと(当該アルバイトが代わりの店員を用意しなかった)を理由に、10時間分の9350円を差し引いたというのです。もちろん、この減額分は「働かなかった」時間でなく「風邪で休んでいた」時間に対してのものです。つまりセブンイレブン側は、働いた賃金のうちから10時間分を罰金として差し引いたということになります。

これは、もちろん違法。まず、風邪(風邪ならば人にうつります)の人が接客する場に出ることを避けて仕事を休むこと、これは正しい行為です。そして、このような場合、労働者には仕事をやすむ権利があります。この休みを取る権利を阻害することはできません。

次に、「罰金」を課すことが違法。そもそも、この場合、罰金の対象になるはずがありません。セブンイレブン側は、代替要員を(バイト側が)用意しなかったことを理由にしているようですが、人員の確保の責任は使用者側にあります。また、風邪(病気)で休むほどの人に代替要員を探すように求めること自体不当です。

そして、罰金の位置づけ、その罰金(この言葉はふさわしくなく、「減給」や「労働者側の責任がはっきりしている損害分の賠償」だと思いますが)については、キチンと会社就業規則の「罰則規定」に定められている必要があります。また、定められているとしても、限度があります(懲戒としての減給は1日の給与の10分の1まで)。今回の場合は、このような規定などなく、本来雇い主側に責任がある人員手配をバイトが行わなかったから10時間分の差し引いたわけで、これは完全に違法です。

問題は、時折このような違法行為を行う雇い主がいることです。ここまでの金額で無くても、仕事の「ミス」で500円とか1000円とかのペナルティーをとったり、余計働かせたり、病気になっても休みを取らせなかったりという相談が時折ユニオンに寄せられます。

働いた分の賃金を支払わないのは、泥棒行為と同じことで犯罪です。今回のセブンイレブンの問題については、犯罪を犯したのはどちらか?明白です。このセブンイレブン経営者には相応のペナルティーが課せられても良いと思います。

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(以下、朝日新聞サイトからの引用)

 コンビニエンスストアを展開するセブン―イレブン・ジャパンの東京都武蔵野市内の加盟店が1月、アルバイトの女子高校生(16)のバイト代から、かぜで2日欠勤したペナルティーとして、9350円を差し引いていた。

 親会社のセブン&アイ・ホールディングスの広報センターによると、加盟店は高校生側に「欠勤時に代わりに働くアルバイトをさがさなかったペナルティー」と説明。保護者の相談で発覚し、セブン―イレブン・ジャパンは「ペナルティーの理由が不適切で、減給の額も労働基準法に違反している」として、加盟店に高校生への謝罪と全額の返還を指示したという。

 高校生は5日間(25時間)の勤務分として2万3375円を受け取るはずだったが、加盟店は2日間(10時間)分の欠勤があったとして、給与明細に「ペナルティ」と手書きし、9350円を差し引いた。

(以下略)
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2017年1月17日 (火曜日)

「うつ」の治療は薬離れの時が難しい(ゆとりをもって、ゆっくりと)

職場での過重労働やハラスメントに遭って鬱になった人達、わがユニオンにも多くの方々が相談に来られ、そして治療を受けて「治って」いきました。

「うつ病」はストレス要因から離れて、ゆっくりと治療すると治るものなのです。ただ、この治療の期間については、当人や周囲(家族や同僚)が思うよりも長いのが現状。ところで、問題はこの「長さ」が会社が定めている病休期間や保険組合からでる「傷病手当金」支給期間と合わないこと。だから、治療半ばで「復帰」してしまい、そしてまた再発するケースがあるのです。

もともと、「うつ」になる人は仕事人間が多くて、これは「仕事をしない」期間を短くしてしまいがち。それに、いろいろな本や資料やWEB上の情報に、あまり「うつ」の治っていく状態の情報が無いという問題もあります。

カワセミの周辺の「うつ」の人達も、「治る」段階では、かなり「早め」に「治った」ことにしているような気がします。

「もう、大丈夫だから」とか「医者に行かなくても良いようだ」とか、こういう言葉が治療を始めてから数ヶ月で聞かれるようなら、「それは違うだろ」「薬が効いて治った感じがするだけ」とか「治る時の、いわゆる三寒四温によるだろ」と思うのですが、これが、治療を始めてから1年あるいは1年半という期間を経ていると、なかなか傍からは(まして医者でも無い身には)判断できません。

一つの目安は、処方される薬。これがゼロになれば、ほぼ「復帰」のタイミングと思われます。薬の処方が「治る方」の最後はどうなのか?

実は、以外に最後まで治療を受けている人が少ないのです(会社に復帰しても良い。業務ができる、と言う医師の診断は、イコール「鬱が治った」ではなく、「仕事してよいところまで治った」です)。

うつ、休暇期間は(社内制度によるものも含めて)、できる限り多く取るのが良いと思います。

2017年1月 8日 (日曜日)

うつ病と診断されたら、無理せず、治療に専念を! 

千駄ヶ谷のカワセミです。

2017年 謹賀新年。

あれやこれやと忙しさやらを理由に、このブログを書かないことが多い昨年でしたが、今年は週に1回の目標を立ててアップしていきたく思います。

以下は、毎日新聞の記事です。

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うつ病休暇>半数が再取得「企業は配慮を」 厚労省研究班

 うつ病になって病気休暇を取った大企業の社員の約半数が、復帰後に再発し、病気休暇を再取得していたとする調査結果を、厚生労働省の研究班(代表者、横山和仁・順天堂大教授)がまとめた。特に復帰後2年間は、再取得する人が多かった。仕事の負担が大きな職場ほど再取得のリスクが高いことも裏付けられた。専門家は社員の職場復帰について、企業が慎重に取り組むよう訴えている。

(中略)

 その結果、うつ病を再発して病気休暇を再取得した人の割合は、復帰から1年で全体の28.3%、2年で37.7%と高く、5年以内で47.1%に達していた。職場環境について、仕事への心理的な負担を調べる検査「ストレスチェック」を職場メンバーに実施した結果、負担が大きいと感じる人の多い職場ではそうでない職場に比べ、病気休暇の再取得のリスクが約1.5倍高かった。

 休暇期間では、1回目の平均107日に対し、2回目は同157日と1.47倍に長くなっていた。1回目の休暇期間が長い場合や、入社年齢が高くなるほど、2回目の休暇が長くなる傾向もみられた。

 調査した東京女子医大の遠藤源樹助教(公衆衛生学)は「うつ病は元々再発しやすい。企業は、病気休暇の再取得が多い復帰後2年間は、特に注意を払い、時短勤務などを取り入れながら、再発防止に努めてほしい」と指摘している。

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 調査は1000人以上規模の大企業を対象にしています。だから日本の多くの勤労者が働く中小・零細企業や、外国企業の数十人~数百人の日本法人は対象ではありません。労働組合の組織比率が比較的高く、病休制度や年次有休休暇制度などの休暇取得制度が比較的整った企業を対象とした調査です(もちろん、大企業の中にも電通などのような、労働組合があっても、実際はブラックな企業もあります)。

 この調査と同じような傾向は、労働相談受付の現場である、わたしたち労組(NU東京)に寄せられる相談でも現れています。違うところは、わたしたちの場合、零細企業から大企業までの幅広い会社から相談がよせられるので、中には「有休休暇(制度)が我が社にはないといわれた」とか「休むのだったら、そのぶんの損失をどうするんだ」などという、とんでもない経営者や管理職が中小零細には時として現れるということです。

 一つの傾向として、一回目の休職期間が短くて、二回目が長くなるのは、一回目の休職期間が十分でなかった、ということがあります。

 労働者は生活のために働いていて、そして、時には働き過ぎが原因で「うつ病」になります。これには上司のパワハラや経営不振・リストラ圧力によるストレスが加わることがあり、その場合、「会社に行こうとしたら体が動かない」「通勤しようとすると頭痛がひどくてとても会社に行けない」「体が震えてしまう」などの症状があって、診断書には「うつ」のほかに「抑うつ状態」「適応障害」と書かれることもあります。専門的なことは医師の判断によります。

 このような状態になっても(動けなくなってしまった人は、医師にかかり、薬の処方などを受けて少し動けるようになってから)、労働者はどうしても「自分はまだ働ける」「少し休めば大丈夫だ」「休んではいられない」と思ってしまいます。生活を支えるため働かなければならないからです。そして、会社には「大丈夫、働きます」「もう治っています」などと伝えがちです。そして、会社も(中小・零細企業で人手不足の場合や、大企業でもその人が業務遂行に重要な位置にいる場合)、「うつ」に罹病した人を、早めに復帰させる傾向があります。ときには無理矢理働かさせるようなことすらあります。

 そして、十分治っていないために、働き始めて半年、1年と経った頃に、より重いうつ症状を起こして、二回目の休職にはいってしまう・・・・。

 問題は一度目の休職時への対応です。

 まず、ゆっくり休みましょう。会社の休職制度を最大限利用しましょう。

 病気になったという意識を持って「ちゃんとした病人」になりましょう。「うつ」の場合、心の(脳の機能に関わる)病であるため、ここがなかなか難しいのですが、心療内科や精神科の医師には、ありのままの症状を伝えましょう。そして処方された薬は処方通りに服用し、副作用(必ずあると思ってください)については、それを医師にきちんと伝えましょう(処方をされた薬を飲まないと、副作用はわからないから薬は飲みましょう、そして副作用のひどい薬は変えてもらいましょう)。

 「うつ」がひどい場合は、医師の診断を受けるだけでも一苦労です。もし家族と同居しているときは、一緒に医師の診断について行ってもらいましょう。「家族とともに治す」という発想も必要です。

 「うつ」の状態では、ネガティブな考えをもちがちです。会社との関係においては「このままでは不利になる」とかの不安や、「いっそ会社を辞めた方が良い」という考えが生じがちですが、そういうことは「うつ状態」で解決しません。治ってから考えれば良いので、治療中は、なにはともあれ治療と休養に努めましょう。

 そして、うつ治療を始めて、薬を服用し、さらに体と症状に合った薬が定まると、ときおり症状が改善したような、あるいは「もう治った」と思える状態が訪れますが(本人にとっては休み初めて3ヶ月とか半年とか、かなり「休んだ」と思えるときでも、病気はなおっていないことが多いのです)、このとき医師から離れないでください。治っているかのような状態があっても、それは薬が効いている状態かもしれません。必ず医師の診断を受け続けてください。十分に治療しないで、ここで、会社に復帰するとしばらくして再発するといえます。

 ながくなってたので、終わりにしますが、以下のことは頭に入れておいてください。

 「うつ」はゆっくり治しましょう。 医師の元できちんと治しましょう。会社の都合は気にかけないようにしましょう。あくまでも自分を治すために休みましょう。

 会社の病休制度があれば十分利用しましょう。多少の収入減はやむを得ないと割り切りましょう。

 長時間労働や過重労働、職場でのハラスメントが伴ってうつになった場合、労災を申請しましょう(労災と認定されれば、状況はかなり良くなります)。労災申請をする場合は、慌てないで、数ヶ月(あるいは半年程度)経って、ある程度回復してからで良いです。うつの重い状態での労災申請はストレスになりますから控えましょう。体を治しながら、ゆっくり、発病に至る経過についての資料作成などを行ってから申請しましょう

 無理に「働ける」と判断し、治っていないのに会社に復帰しないようにしましょう。また、会社(上司や同僚を含む)から「早く出てきてくれ」などと言われても、治るまでは会社に行かないようにしましょう。

 そして、休職しはじめの数ヶ月間は、とにかく会社のことを忘れましょう。

※うつ病の場合、都道府県の「自立支援」制度を受けると、医療費が軽減されます。抗うつ薬は高い薬なので、この制度を利用しましょう(詳しくは、行政の福祉担当窓口に連絡を!(家族や知人に手続きを手伝ってもらいましょう。この制度は申請したときから適用されるので、うつの症状で動きがとれないとき、そしてもっとも薬代がかかっている初期の医療費に対応しない、という欠点があります。医師が定まったら家族、知人から福祉担当窓口に、まず電話だけでもしてもらいましょう)。

2016年4月13日 (水曜日)

NU東京の次回土曜相談は4月16日です。

ネットワークユニオン東京の土曜電話労働相談、次回は4月16日です。

相談受付時間は13時~17時。

相談を寄せられる方には、雇用契約書、就業規則などの雇用に関わる文書を手元に置かれて相談電話をかけていただくと効果的です。(そのような文書がなくても、雇用問題の経過をまとめて手元に置いておかれるとよいと思います)

なお、5月1日のメーデー、NU東京は日比谷野外音楽堂で開催される「日比谷メーデー」に参加いたします。

2015年12月21日 (月曜日)

ブラック社労士問題。私たちが経験している消極的なブラック社労士たち。

東海地方に事務所を構えるK社労士が、自身のブログで「社員をうつ病に罹患させる方法」というとんでもないタイトルを掲げて、権利主張を行う社員(K社労士はこれを「モンスター社員」などとの蔑称を用いている)は嫌がらせを行い、うつ病にして会社から追い出せば良い旨の「経営指南」をおこなっていました。日本労働弁護団や過労死問題に取り組む団体、POSSEなどの労働組織が、厚労省にこの社労士の懲戒処分を求めましたが(12月18日)、このニュースは、改めてブラック士業の問題を社会に問うものとなりました。

多くのマスメディアやブログ、SNS上で取り上げられているので改めて、問題を要約することを避けますが(この問題については、NPO法人POSSEの今野晴貴代表の見解と分析がわかりやすいので、ググってみてください)、わが「かわせみ通信」では、私たちが最近遭遇したブラック社労士まがいの社労士の行為についていくつか例を挙げます。

1、解雇問題について、会社(海外で事業展開する設計事務所)と労働組合で交渉している状況で、組合が会社に対して解雇理由を求めたところ(会社の経営悪化が理由と考えられるケース)、出された離職票に「重責解雇」(懲戒解雇に相当)するとしたケース。

 この離職票は会社社労士が作成したとされるが、重責(懲戒)解雇にもかかわらず労基署の承認もなく、かつ「懲戒理由」も本人も組合もはじめて聞くものでした。曰く「仕事が出来なかったから」と・・・・。百歩譲って仕事能力がないとしても「懲戒」はあり得ません。ましてや解雇された本人は、2級建築士であり、外国語も堪能です。この解雇理由はあり得ないのですが、社労士はその離職票をいきなり作成したのでした。

 この問題のバックにはブラックならぬ労働事件について知識のない弁護士がついていました。この弁護士たちは、自分たちのデタラメを覆い隠すために、社労士会に抗議し、弁護士会に懲戒請求を起こした私たちに(事実無根の)「損害請求訴訟」まで起こしました。まさに嫌がらせ訴訟です。そしてこの段階で、彼らは完全にブラックになりました。

 訴訟では私たち労組側が勝利し、そして離職票問題も解決しましたが(ハローワークがそのような離職票を受け取ったこと自体を間違いと認めた)、その結末は・・・。会社は一連の裁判や争議に耐えきれずに倒産してしまったのです。

 無知な社労士や弁護士が、自ら事件を引き起こして、そして結局は会社が全面的に敗北しさらには経営の破綻まで起こしたケースです。

2、特定社労士でもない社労士が労使交渉に介入して、問題を複雑化させたケース。

 神奈川の学習塾(ブラック業界と言われていますが)で、ハラスメントと過重労働で就労困難になった労働者の問題について、会社側と組合が交渉をしている状況で、会社側社労士(特定社労士ではない)が、一方的に当該労働者を解雇しながらも離職票を送らず、また解雇予告手当も支給しないという手段を取りました(傷病手当についての知識も極めて怪しいものでした)。

 加えて、この社労士は特定社労士でないにもかかわらず団体交渉に登場し、会社側の発言について「法的に問題がない」(不当労働行為発言など言い放題の会社ですが)「法律でそうなっている」などと発言しつづけました。さらに、団体交渉に必要な労働条件に関する資料の提示を「必要ない」などと、何の権限も責任もなく発言し、交渉の成立を困難にしました。

 このケースの場合、組合は社労士の所属する社労士会に業務監査を求めました。またこの問題については労働審判で(時間外賃金未払い問題含め)組合側が勝利的に解決しました。このような社労士は、会社の違法を追認するためだけの役割を果たした、消極的なブラック社労士といえます。

3、労使交渉のさなかに、雇い止め通知を「書かされた」社労士。

 東京の半導体関連製造業で高年法による雇用延長をめぐって、労使交渉で再雇用後の労働条件を労使間で交渉してるときに、会社側は一方的に組合との交渉で合意がなかったので再雇用をしないとし、「自己都合による退職」との離職票を当該労働者に渡したケース。

 解雇は不当としても明らかに会社都合であるのに「自己都合」したのは、会社の社労士であると判明。社労士には強く抗議したところ、社労士はそもそも本件問題に関しての知識がほとんどなく、会社側弁護士(経営法曹会議所属の比較的若い弁護士)の指示によるものとしました。

 会社は、このほかにも時間外賃金を一切払わず。会社側弁護士労使交渉において、労基署への相談を組合が語ると「そのようなことをすると、今後交渉は持てない」「(組合の役員について)もう辞めたらどうか」など違法発言(労基法違反や労働組合法違反)を行う始末です。

 現在、再雇用については争議状態になっていますが、労基署の指導の下で未払い時間外賃金の一部が支給されました。

 以上、3つのケースは、私たちがこの数年間に経験したケースです。個々に登場する社労士たちは基本的には「無知」であり「違法企業の言いなり」に動いています。このような社労士は「消極的なブラック」といえます。

(カワセミ)

2015年12月15日 (火曜日)

個人加盟労組ということの意味(その2-「個人」の変化1)

日本における合同労組の結成は、戦前は左翼的イデオロギーのもとで、そして戦後はGHQの戦後民主化政策と総評の「中小対策オルグ」配置によって進められてきました。

ここでいう合同労組は、職場組織を作ること、あるいは職場組織単位の活動を前提としての合同労組です。この合同労組の形成と運営には、その地域や産業(産別)に対応して配置されたオルグ(オルガナイザー:労働組合の組織者)が当たりました。

戦後(とくに1950年代から70年代)は、大企業労組ではカバーできない中小企業の労働者の組織化のために、オルグが地域に張り付いて、文字通り労働者を一人ひとり合同労組にオルグして、そしてその企業で一定の影響力を行使できる段階になると職場組織を「公然化」(組合作りが経営側に知られると、その切り崩しが行われるために、職場組織の結成通告までは、経営側に知られないように組合を準備する)しました。公然化後は同じ地域や同じ業種の労働組合の力を借りて、労働者の要求実現のために活動する形になります。

この、戦前・戦後タイプの合同労組(以後、「合同労組オリジナル」とします)とはあくまでも職場組織を前提とした合同労組なのです。この場合の「個人加盟」とは、労働組合を準備するための地域合同労組などへの個人加盟であり、その職場組合組織が結成された以降は、その職場組織の上部団体への個人加盟ということになることが多かったのです(組合結成後に、その合同労組が「企業内組合」化して、合同労組から離れてしまう場合は、その企業内労組への個人加盟となります)。

ところで、昨今の個人加盟労働組合(地域ユニオンや課題別ユニオン=これを仮に「ユニオンタイプ」とします)の場合、「個人加盟」の意味合いが「合同労組オリジナル」とはかなり性格が違います。

「ユニオンタイプ」では、「合同労組オリジナル」のように、オルガナイザーが地域でビラを配ったり、職場近くの労働者のたまり場(職場近くの居酒屋とか、地域の文化・スポーツサークルとか)で顔見知りになったりした労働者をオルグ(組合へ勧誘して)して加入させる、という経過をとらないことが多いのです。どのような形をとるかと言えば、ホームページやブログあるいはSNSなどのWEB情報、マスメディアの報道などによって、個別労働問題(解雇や退職勧奨やハラスメント、病気休職問題など)の相談や解決を求めて、個人労働者の方から労働組合に接触をしてくるのです。そして、ユニオンはこの相談に対応する中で、その相談に来た個人の問題の解決について、雇用主に対して団体交渉を申し入れます。「合同労組オリジナル」タイプでの公然化は、ユニオンタイプではいわば「ひとり公然化」として行われることが多いのです(ただし、オリジナルタイプの伝統を持つ「合同労組」は現在でも、一定の組合員が揃うまでは公然化しないことがあります)。

労働相談から、短期間のうちに労働組合に加入して、個人組合員の労働条件や労働環境について団結権と団交権を行使する。これがユニオンタイプの活動の特徴で、だから、ユニオンタイプは完全個人型合同労組ともいえます。

このオリジナルタイプからユニオンタイプへの「個人加盟」の変化にはそれなりの背景があると考えられます。詳しくは次回以降に考えたく思いますが、変化の背景として次のようなことが挙げられます。

1、労働組合の企業内化:企業別組合が企業内の労働管理部門的な役割になってしまい、地域の労働者の生活や権利について関心がなくなったこと(とくに、産業別大企業労組は無関心)

2、産業構造の変化:戦前・戦後の労働集約型で工業中心の「職場」から商業、金融、サービス業中心となり(1980年代が変わり目)、労働形態、就業状況が大きく変化したこと

3、一つの職場に働く労働者の居住地が多様化し、かつ遠隔地化したこと、あるいは個々人の思考の多様化によって、同じ職場に働く人が集まる場が少なくなった(社員旅行の中止などは象徴的)こと

4、情報処理手段の変化(IT革命以降)によって、一つの職場に働く人たちの情報交換の形態が大きく変わったこと

5、労働者一人一人の保有する情報量が桁違いに大きくなった(PCのHDD、あるいはデータ記憶媒体の中には、一人の人間が一生かけても読み切れないほどのデータが有り、また、個人が利用できるWEB上のデータは(労働分野に限っても)無限と思われるほどである、ということ

6、情報の横溢に反して、個人情報の保護や企業情報の秘密管理については厳格化されていて、特定の「他者」(隣で働いている人とか)の情報が得られにくい社会になっていること

以上の他にもまだあると思いますが、仕事と個人のあり方が数十年間の間に大きく変化した日本において、合同労組の活動スタイルや、個人加盟労組における「個人」の位置づけも大きく変化してきたのです。

(つづく)

カワセミ

2015年12月 8日 (火曜日)

個人加盟労組ということの意味(大げさに言えば歴史的変遷 その1)

私たちNU東京は、個人加盟方式のユニオン(労働組合)です。

しかし、考えてみれば、個人加盟でない労働組合などというものは存在するのでしょうか?

1)合同労組が、その加盟単位を職場労組組織とすれば、個人加盟でない

2)もしかしたら、会社に入ったら加盟することになっている企業内組合は個人加盟でない?

2)の場合は、やはり個人加盟です。形としては、まず企業内労働組合に、その企業の従業員として採用された個人が加入して、そして、その企業内組合に加入したことではじめて、その人が採用され得るのです。これをユニオンショップ制といいます。

ユニオンショップは、会社(雇用主)とその会社の労働組合が労働協約(労働組合と会社が取り結ぶ協定で、これは就業規則や労使協定よりも優先します)を結び、そのユニオンショップ協定を結んでいる労働組合の組合員でなければ社員として採用しないことになっているのです。要するに労働組合員であることが社員の条件になるのです。

このユニオンショップ協定においては、その対象を正社員の非管理職とする場合が多くありますが、その場合はパートやアルバイト、あるいは契約社員などの「非正規」従業員や管理職採用された従業員はユニオンショップの対象から外れます。

管理職をユニオンショップの対象(あるいは労働組合員の対象)から外すというのは、元々は。管理職を通しての労働組合への支配介入行為を防止するための手段であったので、それなりに納得できる面があります。しかし、「非正規」従業員を対象から外すのはどうか? ここは大いに議論が生じるところです。

話を戻します。とにかく、ユニオンショップは個人加盟の形式をとります(ユニオンショップ問題については今後触れていきます)。

で、つまり組織単位加盟による地域合同労組以外の労働組合は全て個人加盟労働組合なのです。

しかし、多くのユニオンは「個人加盟労働組合」「個人でも加盟できるユニオン」ということを前面に出して活動しています。私たちNU東京も、そう言えるかも・・・・

もう少し整理します。

実際は、個々人が加盟する労働組合(ユニオン)でも、その活動においては個人が単位にならないことがあります。それが職場組織です。○○ユニオン(○○労働組合)○○支部あるいは○○分会という形で、活動単位が支部あるいは分会とされている個人加盟ユニオンは多くあります。この場合、一人しかその会社・職場に組合員が存在しない場合、どうするのか?これまた、いくつかのケースがあって、

1)その職場に一人しか組合員がいなくても支部あるいは分会名を名乗る(そして全従業員の労働条件について要求を提示して堂々と労使間交渉を持っていく)

2)特定の地域に存在する職場に一人の組合員を集めて、その地域ごとの支部・分会を形成して、その支部・分会として組合員が存在する各企業の労働条件等について交渉していく)

3)はじめから、一人一人の組合員を組織単位として、その一人一人が働く職場での労働条件などについて、合同労組(ユニオン)が経営と交渉していく

となります。

1)と2)は、いわば古くからの合同労組のスタイルで、全国一般労働組合とか全統一労働組合は、この形を取ることが多く、3)はいわゆる「ユニオン型」で、その典型的なのが「管理職ユニオン」や「女性ユニオン」など、職場の結びつきというよりも労働者の地位・性別などの属性による労働組合です。「ユニオン型」(と仮にします)の合同労組の場合、個々人が直面している雇用問題をストレートに扱います。また、解雇・退職勧奨や休職問題、病気や職場いじめなどの個々人に関わる問題に対応しやすいという特質がある半面、企業・職場全体の雇用条件や労働環境問題には一工夫が必要(個人の持つ情報の限界もあり)という面があります。

当然、どの形式の労働組合、合同労組でも、労働三権(団結権、団交権、団体行動権=労働争議権)という、憲法28条のもとに活動できます。

つづく

(かわせみ)

2014年6月18日 (水曜日)

アベノミクスのインフレ政策で、残業ゼロラインが引き下げられたら・・・!将来は現在年収500万円レベルも残業代ゼロとなる。

久しぶりに(本当に久しぶり、1年と数ヶ月カワセミは不在でした)書きます。

安倍政権による残業代ゼロ法案、なにやらその対象者を「1000万円以上」にするということ、つまり「残業代ゼロライン」が、法案が成立した後に下方修正されそうです。そういえば、かつての第一次安倍政権のときは800万円という線が出ていましたが(それすら怪しく、もっと下げられるのではという見方もありました)、今回もどうやら、その800万円ラインにこだわっている?

ところで、この将来における「残業代ゼロライン」ですが、アベノミクスのインフレ方針が貫徹されたとしたならば、10年後には現在の年収500万円が800万円近くになるのではないでしょうか? つまり貨幣価値が無くなってしますのです。と、考えると・・・・。

安倍自民党政権の残業代ゼロ法案の「金目」は10年後には現在の年収500万円レベルをもってする、ということになりそうです。何とも恐ろしい! アベノミクスは全くの竜頭蛇尾、羊頭狗肉で、経済政策は総破綻の過程にありますが、労働者に「ただ働き」を強いて、政策の破綻を繕おうとする魂胆は見え見えです。

安倍政権とは、一方で軍需産業を育て「死の商人」を養い、また原子力を輸出して害悪・汚染を世界に広げ、他方国内では、労働者を絞れるだけ絞り、その生活を破壊し、労働者を企業に隷属させていく戦後最悪の政権ではないでしょうか?(そうそう、NHKを、どこかの軍事独裁国家の「公共放送」並に、政権の宣伝手段として使い始めているのも大問題です)

こんな政権は一日も早く終わりにしたいものです。そして、残業代ゼロ法案は断固として阻止! です。

(留鳥カワセミ)

2013年3月22日 (金曜日)

アベクロ、棄民政策のもとで、IT労働者に仕事が回ってきた? でも、ブラック企業は無くなっていません。仕事選びは慎重に!

黒田東彦を日銀総裁に据えて、安倍政権は2%インフレ政策を推し進めようとしています。これに合わせるように、電気・ガスが値上するといいます(理由は円安などのようですが、まさに政策によって作られた値上げです)。しかし、マスメディアが取り上げた一部大企業の賃上げ(しかも、正社員の賞与だけが多い「名ばかり賃上げ」)のほかには、賃上げの話は滅多に聞きません。逆に大企業の中でもパナソニックなどは大幅賃金カット! 

黒田総裁は「できることは何でもやるし、達成できると確信している。円高、新興国からの安い物資の流入など、あらゆる要素が物価に影響するが、物価安定を確保する責務はどこの国でも中央銀行にある」などと宣言していますが。これは、労働者の生活など関係なく、とにかく物価を上げるというとんでもない見解で、まず政策の目標達成があり、人々の生活はその次というような、異様な「ご奉公」の姿勢です。

このままいくと賃金は上がらず物価だけが上がる最悪の状況が訪れます。

また、多くの人が指摘しているように、たとえ株価が上がったとしても、それが実体経済に結びつかず、さらにマネーゲームに投資され、実態無き好況が作り出される恐れすらあります。

このような状況、つまり結果がどうであろうと新しい経済政策が動き出すときに、活況を示す業界があります。それはIT業界です。安倍政権の「国土強靱化」にも、まずはIT環境の整備が必要です(東日本大震災で問題点が多く見つかったITシステムの作り直しも必要です)。消費増税に対応するシステムも作らねばなりません。そしてインターネット選挙。これこそ、IT業界しかできません・・・・・・。などなど、いまIT業界では、労働力不足気味? 某IT業界の営業マンは、ユニオンの問いかけにはっきりと言いました「いまは、待機労働者など出ませんよ」って。

そういえば、わがユニオンが関わるIT会社には、退職勧奨を強引に行っていた会社、待機労働者を整理し始めたいた会社が多くあるのですが、最近、退職勧奨の話が少なくなりました。またIT技術労働者からの相談も減ってきています。

私たちが過去・現在交渉を行ってきたIT企業は45社ほどになります。会社規模に関係なく、その中にはキチンとした企業もあれば果てしもないブラック企業もありました。できれば、いまのようにIT労働者に仕事が回った来ているときに、ブラック企業、労働者の権利を顧みずに使い捨てをする企業には人が行かないでほしいのすが、現実はそうはなっていません。IT労働者間では「○×社や××社はブラック」などという情報はある程度共有されているものの、常に新しく供給される若い労働者にはなかなか伝わらないし、不安定な雇用状況しか経験のない。ITバブル以降世代の労働者には「とりあえず仕事の確保」という意識が強く働いています。

せめて、IT労働者は、新しく働く企業・職場との労働契約をキチンと文書で結ぶこと(労働契約書は双方が保持するもので、IT会社にありがちな「自分の契約書を会社に渡す」はなしです)。その契約の際に労基法などの法に抵触するような内容の契約を求める企業には行かないこと。もし入った企業がブラックだった場合、すかさず辞めてしまうか、働き続ける場合は日々の記録をキチンととっておくこと。

そう、大事なことを忘れました。いくら仕事があるからといって、あるいは仕事上必要だから(会社からの要請含む)といって、身体をこわすまで働かないでください。

この働き方はおかしい? この会社、おかしい? た感じたら、ユニオンに相談を。

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