安倍政権の賃上げ政策は内実がない。効果的な賃上げは最低賃金の大幅引き上げと、ただ働きの根絶。
安倍政権は、労働者の給与を上げるとしているが、実際には全くその感がない。
マスメディアは自動車大手メーカーや大手コンビニ業で賃上げがあると報じていますが。アベノミクスで大儲けしそうな自動車産業はさておき、コンビニ業界の賃上げもかなり怪しく思えます。
まず、賃上げは「賞与」についてというところが多く、この「賞与」なるものの査定が以下に実施され、それがどのように実際の賃上げになるかが不明です。
それに、今回「賃上げ」するとした多くの企業の賃上げ対象者は「正社員」であり、各企業とも「非正規」社員を大幅に増やしているので、実際は職場で賃上げ対象者が何人なのか?ということもあり、さらに同じ職場で働いている(コンビニも)同じユニフォームを着た人でも、実は会社が違う人もいるわけですから、コンビニ業界の「賃上げ」など、かなり「名ばかり賃上げ」と言えるのではないか?と思われます。
私たちが日常受けている相談でも、賃下げ、解雇、正社員から契約社員への変更、契約社員からアルバイトへの変更、そしてそれとともに行われる退職勧奨という相談が目立ちます。
いったいどこに「賃上げ」の現場があるのか?
きっと安倍政権は、一定程度「大企業」の「正社員」の賃上げが落ち着いた段階で、大企業正社員の平均賃上げ率などを出して、「確かに賃上げがあった」などと政策の実現をアピールするのだと思いますが、それはごまかし統計もので全く信じるに足りません。
ところで、もっとも手っ取り早くて、しかも全業種、全企業規模にわたる実質的な賃上げの方法は、サービス残業の廃止(当然、時間外労働はすべて法にかなった割増賃金を支払う)。そして最低賃金の大幅な引き上げです。また、年次有給休暇の取得率の向上も雇用を生み出します。
要は、労働政策を見直すことです。これは残業代未払い法(ホワイトカラーエクゼンプション)の導入を過去に図り(失敗した)、また正社員の解雇自由を検討する安倍自民党政権には荷が重すぎると思いますが、賃上げを政策として打ち出した以上、そのくらいのことはやらねばなりません。
このままゆくと、2%の政策インフレが強行されるなかで、賃金のみが目減りするという最悪な状況にいたります。そして社会には不満が醸成され、蓄えられていくことになります。
そして、矛盾だらけの政治的経済対応の「アベノミクス」が破綻し、賃金が実質目減りする事態が訪れたとき、安倍政権(あるいはその後の政権)がとる策は、改憲のうえ「強靱な国家」を前面に出し、た軍拡・強権策になるのでしょうか? それこそ日本破滅のシナリオです。
政府の掛け声ややマスメディアの報道とは大きく隔たりがある労働現場の声を、日々の労働相談で受けながら、本当に心配になります。
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