会社側補佐人として団体交渉に出席した行政書士が「病気休職は債務不履行」と繰り返し主張。
最近行われた、某企業での団体交渉で、会社側の団体交渉出席者として社会保険労務士(特定社労士)と行政書士が「補佐人」として出席しました。
団体交渉の議題は、病気休職した社員(組合員)の復職についてでしたが、その休職について話しが進む中、突如、会社側の補佐人・行政書士が、「病気休職は債務不履行である」と繰り返し主張しました。
なにを言うかと思ったら、労働契約は「債権債務関係であり、働いていないのだから、債務不履行」と・・・。
病気休職している組合員は、会社の休職規定によって休職しており、しかも当人が復職を望む中、会社側が「今後病気にならないことが明らかにならない限りは(要旨)」復職させないと主張し、このため医師が「復職可能」とした後も、会社が復職させない状態が数ヶ月続いているなかでの団体交渉でしたが・・・・。
しかし、労働契約は、雇用条件の中に会社就業規則と休職規定を定めているので、組合員の休職は労働契約に沿ったものとなります。むしろ、このケースでは会社に就労できると医師が判断したものを、就労させない(今後病気にならない、という非現実的な主張=それは人間として無理)会社が、労働契約を無視しているともいえます。
しかし、病気休職した労働者に面と向かって、「病気になったのだから、債務不履行」などと主張するとは・・・。それは、その対象が雇用される労働者でなく個人事業主だとしても、非人間的な発言ではないでしょうか。
小泉政権以降、ありとあらゆる分野に「自由化」が進み、あらゆるもの・事象が市場化してはいますが、人間の基本的属性である労働分野で、これほどまでに非人間的ともいえる発言がでるような、事態はきわめて深刻です。
最期に、労働契約法の第1条、第5条、第7条を以下に載せます。
第一章 総則
(目的)
第1条 この法律は、労働者及び使用者の自主的な交渉の下で、労働契約が合意により成立し、又は変更されるという合意の原則その他労働契約に関する基本的事項を定めることにより、合理的な労働条件の決定又は変更が円滑に行われるようにすることを通じて、労働者の保護を図りつつ、個別の労働関係の安定に資することを目的とする。
第5条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
第7条 労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。
(かわせみ)
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