国会の召集、しかし派遣法改正は店ざらし。成立しない原因は、実は民主党にある?
昨日、通常国会が召集されました。内政・外交とも民主党政権にとっては、きわめて厳しい対応を迫られる論議が行われる国会になります。
労働の分野においては、一向に改善しない雇用情勢、社会保障システムの破綻という状況に対する政策をどうする?ということがあります。
そして、派遣法改正の問題。
派遣労働問題は、そもそも、民主党が政権を得るにあたって、その背景となっています。
自民党政権が市場原理主義のもとで、労働力の使い捨て政策を行ってきた象徴として、ほとんど全ての労働分野に蔓延して、労働者の生活を破壊した「派遣法」(派遣労働を大幅に自由化する法律)は、自民党政権末期の格差社会と労働者切り捨て社会を象徴するものでした。
「改正派遣法」は、この「派遣」という労働形態に縛りをかける(登録型派遣やスポット派遣、製造業での単純派遣は認めない)もので、これは不十分さを持ちながらも「口入れ・人身販売の蔓延」ともいえる、日本社会の労働者の状況を変える第一歩の法改正です。
しかし、これが、なぜか成立しないままになっています。
一方、自民党は臆面もなく「派遣労働が無くなると困る」「派遣労働で幸せになった」などというキャンペーンを行っています(単純派遣労働で「幸せになった」人がいったいどれほどいるのでしょうか?)。
さらに派遣会社は、その寄付を資金とし、その影響力が強いといわれる「東京大学社会科学研究所・派遣フォーラム」は「アンケート調査」の結果もとに(しかも、この調査は派遣企業などの会社を経由して行われているので、会社の意に反した答えをしにくい)、派遣法改正に反対のキャンペーンを続けています。
そして、派遣法改正は1年以上も国会で店ざらし・・・・。
成立しないのは、財界や派遣業界の反対だけが原因ではなさそうです。
まず、民主党の中の市場原理主義傾向の議員達、そして派遣労働によって労働力の値段を安く叩き、大きな利益を上げている企業のパートナー・同伴者たる大企業御用組合の存在があります。民主党の基盤の一つになっている大企業の御用組合は今春闘を早々と放棄してしまいましたが、それはそれとして、では大企業の下請け、系列で働く労働者、大企業組合が有る企業に関係している膨大な数の「非正規労働者」のための要求を掲げているのか? 答えは否です。
さらに、民主党の雇用・労働政策についてはどうか? そもそも、マニフェストが崩壊している現状では、なにが政策かわかりません。行ったことは法人税減税などの大企業保護、言っていることは格差の中で苦しむ労働者を直撃する大増税!
こう見てみると、派遣法改正が(しかも、派遣労働者の保護という面が語られていることのみ評価できる内容で、その後の更なる派遣規制が必要)、いつまで経っても国会で通らない原因は、自民党や財界・業界の抵抗よりも民主党にあるともいえるのでは?
(国会前のヒヨドリ)
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