IT産業で多発する解雇、未払い、過重労働問題。
情報処理業、いわゆるIT産業からの労働相談が相次いでいます。
人員整理、経営破綻、廃業などなどによる、プログラマ、システムエンジニアの解雇問題、賃金・退職金未払い問題が多発しています。
昨年来の世界的経済破綻が大きく影響して、情報処理業の顧客である、外資、金融などが大規模な人員整理や業務縮小を行っているという背景があるのですが、問題はIT企業そのものにもあります。
IT業といっても、独自製品を持たないその多くは「派遣」「出向」などで収入を上げています。かつて自社開発の製品を持っていて、それで利益を上げていた企業も、いつの間にか派遣で利益を上げるようになり、しかも違法な2次派遣、3次派遣が当たり前のように行われてきました。
派遣を企業活動の中心とするようになると、要するにいかに人員(プログラマやエンジニア)を確保し、いかに多くの仕事を請け負うかが企業活動になってゆきます。都心に小さな事務所持ちながら百人以上の労働者を抱える(それらの労働者は派遣先の大手IT企業、銀行関係などのパソコンの前に張り付いています)IT企業が多く生まれました。
このIT派遣企業の経営は、派遣の労働力市場に大きく左右されます。もともと情報処理企業に働いていた人物が人員確保のため、あるいは特定のソフト開発業として「起業-企業化」したというケースが多いのです。そしてこれらのIT企業には人事も総務もほとんどないような、行き当たりばったりの企業も多くあります(IT業そのものにも、この行き当たりばったりの傾向が強い)。「本社機能」などほとんどなく、仕事があれば技術者を募集するだけです。このため問題が多く指摘され、原則禁止が求められている「派遣労働」よりも、さらに無秩序、劣悪な労働環境が生じ、過重労働問題や鬱の発症などの健康問題も生じています。
数年前からは中国、インド、ロシアなどの国々からもIT労働者も多く迎え入れていましたが、昨年来の世界的経済危機は、これらの企業と労働者も直撃しています。人員整理によっていきなり職を失ない、借り上げ社宅などの住居の問題、日本での在留資格問題を抱える外国籍IT技術者が多数生じています。
雇用契約や就業規則など無視して賃金を一方的に大幅減額する企業、解雇しておきながら退職金を払わない企業(退職金積み立てがない企業もあります)、期間の定めがない自宅待機(無給)を命じて、解雇予告手当をごまかす企業・・・。
いま、IT企業のあり方が問われています。また、このような企業を2次下請け、3次下請けとして利用して、利益を上げてきた大企業の責任も重大です。
(ウグイス)
« 試用期間中の「整理解雇」は雇用責任の回避。 | トップページ | 桝添厚労相は「労働法が守られない」と嘆くけど・・・。 »
「ニュース」カテゴリの記事
- NU東京結成20周年を祝う会が持たれました。(2018.07.05)
- アベクロ、棄民政策のもとで、IT労働者に仕事が回ってきた? でも、ブラック企業は無くなっていません。仕事選びは慎重に!(2013.03.22)
- 安倍政権の賃上げ政策は内実がない。効果的な賃上げは最低賃金の大幅引き上げと、ただ働きの根絶。(2013.03.18)
- 3月7日(木)~9日(土)に、関西地域で「年度末! 解雇・雇止めホットライン」開設。(2013.02.25)
- 不正・不法に対する会社・団体「組織内」での内部告発は、もみ消しにつながりかねない。(2013.02.06)
「パソコン・インターネット」カテゴリの記事
- ブラック社労士問題。私たちが経験している消極的なブラック社労士たち。(2015.12.21)
- アベクロ、棄民政策のもとで、IT労働者に仕事が回ってきた? でも、ブラック企業は無くなっていません。仕事選びは慎重に!(2013.03.22)
- IT労働者の労働条件・労働環境は悪化し続ける。(2011.02.09)
- IT労働者の貧困を生み出す、中間搾取:「IT派遣」の全面禁止を!(2009.08.17)
- IT産業で多発する解雇、未払い、過重労働問題。(2009.04.15)
「労働相談」カテゴリの記事
- 2024年内の相談受付は12月27日まで、新年は1月6日からです。(2024.12.12)
- 年末年始の相談受け付け(12月24日から1月9日までは相談受付けを休止いたします)。(2022.12.19)
- 保険外交員搾取(さくしゅ)被害弁護団が、2月14日に相談ホットラインを開設。(2019.02.18)
- 「突然の配転」の原因、労働者不足を認識できない会社の経営危機(2018.04.16)
- うつ病と診断されたら、無理せず、治療に専念を! (2017.01.08)
「仕事」カテゴリの記事
- 保険外交員搾取(さくしゅ)被害弁護団が、2月14日に相談ホットラインを開設。(2019.02.18)
- そんなことまで商売に?「退職代行業」に思う。(2018.07.30)
- 「突然の配転」の原因、労働者不足を認識できない会社の経営危機(2018.04.16)
- 定年後再雇用問題に見る。政策の矛盾と「働かせ方改革」(2018.04.04)
- 日本は労働者不足。こんな時は、キチンと要求。(2017.06.02)
「雇用条件」カテゴリの記事
- 5月1日(水)はメーデー。日比谷メーデーへの参加を!(2019.04.04)
- どこまで有効?「年5日の年次有給休暇の確実な取得」について考える。(2019.01.22)
- そんなことまで商売に?「退職代行業」に思う。(2018.07.30)
- 定年後再雇用問題に見る。政策の矛盾と「働かせ方改革」(2018.04.04)
- 政府の「働き方改革」、1月80-100時間の時間外労働時間限度は根本的に間違っている。(2017.03.13)
「外国人労働者」カテゴリの記事
- どこまで有効?「年5日の年次有給休暇の確実な取得」について考える。(2019.01.22)
- 日本は労働者不足。こんな時は、キチンと要求。(2017.06.02)
- NU東京結成15周年の日に、思いつくまま書きます。(2013.02.27)
- 久々の書き込みです。しかし、この間の労働者切り捨ての動きはあまりに急。(2012.10.03)
- 3月2日と3日に、労働組合がない人、労働組合があっても春闘がない人のための電話相談ホットラインを開設。(2012.02.28)
「リストラ」カテゴリの記事
- 「突然の配転」の原因、労働者不足を認識できない会社の経営危機(2018.04.16)
- うつ病と診断されたら、無理せず、治療に専念を! (2017.01.08)
- NU東京の次回土曜相談は4月16日です。(2016.04.13)
- ブラック社労士問題。私たちが経験している消極的なブラック社労士たち。(2015.12.21)
- 個人加盟労組ということの意味(その2-「個人」の変化1)(2015.12.15)
「働く」カテゴリの記事
- そんなことまで商売に?「退職代行業」に思う。(2018.07.30)
- NU東京結成20周年を祝う会が持たれました。(2018.07.05)
- 「突然の配転」の原因、労働者不足を認識できない会社の経営危機(2018.04.16)
- 月100時間、2ヶ月連続80時間の時間外労働!過労死労働の合法化は許されない。(2017.03.13)
- これは既に異常な国家になっているのでは?労働運動から安倍政権の腐敗を考える。(2017.03.06)
「派遣」カテゴリの記事
- 個人加盟労組ということの意味(その2-「個人」の変化1)(2015.12.15)
- 個人加盟労組ということの意味(大げさに言えば歴史的変遷 その1)(2015.12.08)
- 私たちの組合(ユニオン)のこと ☆その3 全国一般労働組合のこと(2015.12.01)
- 明日は、私たちユニオンの定期大会(それにしても、この20年、労働者の生活は酷くなりました)(2015.11.06)
- アベノミクスのインフレ政策で、残業ゼロラインが引き下げられたら・・・!将来は現在年収500万円レベルも残業代ゼロとなる。(2014.06.18)
「労働条件」カテゴリの記事
- 5月1日(水)はメーデー。日比谷メーデーへの参加を!(2019.04.04)
- 「突然の配転」の原因、労働者不足を認識できない会社の経営危機(2018.04.16)
- 定年後再雇用問題に見る。政策の矛盾と「働かせ方改革」(2018.04.04)
- 日本は労働者不足。こんな時は、キチンと要求。(2017.06.02)
- 月100時間、2ヶ月連続80時間の時間外労働!過労死労働の合法化は許されない。(2017.03.13)
この記事へのコメントは終了しました。
« 試用期間中の「整理解雇」は雇用責任の回避。 | トップページ | 桝添厚労相は「労働法が守られない」と嘆くけど・・・。 »
コメント