「置き換えリストラ」が労働者の生活を奪う。
リストラの内容が変わり始めています
今から10年以上前、1993年から94年頃にかけて、「リストラ」という言葉がマスコミに登場しました。バブル経済が崩壊した後、企業が「建て直し」を行うこと。それが「リストラ」(restructure)です。その言葉は、やがて。企業建て直し=人員整理という限定された意味で使われるようになり、やがて解雇=リストラという意味になっていきました。1995年あたりからは「あの人は会社をリストラされた」などという言い方が罷り通るようになりました。
ところで、この「リストラ」という言葉が、最近変化し始めています。それは、「人の入れ替え」による「リストラ」が多発し始めたからです。
一定の年齢で、ある程度の年収がある労働者(500万円以上)が、ある日突然退職勧奨を受けるケースが目立ちます、それは「成果主義」とか「実績主義」による「人事評価」の結果、大幅な減給か退職を迫られるケースや、突如として賃金体系や就業規則を変えられて、一定の年齢以上が人員整理対象になってしまうケース、それにどう考えても嫌がらせとしか思えない出向・配転い遭うケースなどなどですが、今までの「リストラ」と異なる点は、その「人員整理」後は、派遣、パート、アウトソーシングという形でその「リストラ」対象者が抜けた穴を埋め、同じ業務を続けてゆくということです。また、新卒者を穴埋めに採用する場合もあります。
これを「置き換えリストラ」あるいは「入れ替えリストラ」と呼ぶべきかどうか? ただ、いわゆる人員整理解雇の「4要件」とされる。「企業にとっての必要性」「人員整理回避の努力」「対象者選定の公平性」「当事者あるいは労働組合への十分な説明」のうち、「企業にとっての必要性」のみで、行うリストラは不当な場合が多いということです。
「入れ替えリストラ」の背景には、2007年問題を契機にした新卒者採用・会社の若返り、定年制の延長問題(やがて65歳定年になる)や企業業績の悪化があると思えますが、一番大きな「圧力」は派遣、契約、請負・アウトソーシングという「非正規労働力」市場の拡大にあると思えます。安くて使い捨ての労働力があるので、企業はその労働力を「時間買い」(柳沢厚生労働大臣のいうところの)をすれば良い、そうすれば企業業績が上がるという安易な発想が見えます。
このような、「入れ替えリストラ」は、その導入方法(有無をいわさぬような強引な手法が目立ちます)や、労働契約状の問題、そして労働者の生活破壊多・低賃金の固定化という多くの問題点を抱えています。そして、「企業の必要性」だけが罷り通るようになると、労働者の権利や生活は破壊されていきます。「入れ替えリストラ」の対象者層が「残業賃金無し」とされる「ホワイトカラーエグゼンプション」の対象者と重なることも気になります。早急な対策が必要です。
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