オリコンによるフリーライターへの5000万円損倍請求訴訟に思う。
朝日新聞の記事によれば、
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オリコン、雑誌記事めぐりフリーライターを提訴
音楽市場調査会社「オリコン」(東京都港区)が、音楽ヒットチャート集計の信用性に疑問を投げかける雑誌のコメントや記事で会社の名誉を傷つけられたとして、フリーライター(中略)に5000万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。(中略)
訴状などによると(フリーライターは※)、雑誌「サイゾー」の編集部が執筆し06年4月号に載った大手芸能プロをめぐる記事で「オリコンは予約枚数売り上げもカウントに入れている」などとコメント。「アエラ」03年2月3日号では、取材をもとに「『オリコンの数字はある程度操作できる』という噂(うわさ)はあった」との署名記事を書いた。
※部分は引用時に加筆しました。
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ということです。これに対して訴えられた(フリーライター側は)「提訴は裁判制度の乱用」などとして8日、反訴したといいます。
http://ugaya.com/index.html←参照してください。
私にとっては、人ごととはいえない問題です。私達の労働組合活動についても一昨年に、解雇争議を争っていた某有名会社から同様の訴えを受けた経験があるからです。金額も同じ5000万円。私達の場合は、私達のホームページからリンクされていた先のブログに、特定することが不能の(当然、組合関係者であるはずもない)第三者が記入した内容が「名誉毀損」だという、まったくもって筋違いの「損害賠償請求」でした。
結果的には、その訴えられた裁判は、これ以上勝ちようがないほどの、私達の完全勝訴でした。
しかし、突如として、組合および解雇されていた組合員達の自宅に、裁判所から「特別送達」という馴染みのない厳めしい形式で訴状が届き、しかも「5000万円を払え」という内容なのですから大いに驚きます。訴状を良く読んで、弁護士と相談して、そしてやっと「これは嫌がらせの訴訟でしかなく、自分たちが負けるはずはない」と確信するにはしばらく時間がかかりました。そして、その後も多くの時間を訴訟対策に割く必要があり、肝心の解雇撤回を求める活動にも影響がありました。
資本力がある者と違い、労働者個人あるいはフリーのジャーナリストにとって、一つの裁判を維持するだけでも大きな精神的かつ金銭的負担になるのです。
だから、強者であり、資本力がある者達による乱訴は強く批判されるべきだと思います。
オリコンによる今回のフリージャーナリストに対する訴訟の成り行き(出版社でなく、「コメント」した本人を訴えるとは!)については、今後注目してゆきたいと思います。
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