法律違反を指摘したら、採用されないというトヨタの問題
本日付の朝日新聞ニュースは次のような記事を載せています。
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トヨタ系労災隠し告発者、採用から除外 直接雇用転換時
労災隠しと偽装請負が発覚したトヨタ自動車グループの部品会社「トヨタ車体精工」(TSK、愛知県高浜市)が、派遣労働者を直接雇用に切り替える際、内部告発した男性らに採用面接の機会を与えなかったことがわかった。ほかの労働者は大半がTSKに採用されており、男性らは「告発を理由にした不利益扱いだ」として近く愛知労働局に調査を要請する。
TSKの工場では3月、男性作業員(21)が全治4週間のけがをしたのに、雇用主の人材サービス会社「大起」とTSKは労働安全衛生法に基づく報告を怠っていた。
実態は労働者派遣なのに請負契約を装う「偽装請負」がTSKで行われていたことも判明し、愛知労働局が7月に改善を指導。TSKは大起との契約を8月1日付で請負から派遣に切り替えた。
ところが、大起は同月下旬、「税金滞納で事業継続が難しくなった」として、破産手続きに入ることを決定。一方、TSKは製品の生産に必要な人員を確保するため、大起が推薦する派遣労働者を契約社員として直接採用することにした。
両社は工場内で大起の労働者向けに説明会を開いたが、告発した男性と、男性の同居人である女性労働者(20)の2人は参加を拒否された。その後、2人は大起から解雇を通告され、賃金も一部未払いのままだ。
(中略)
TSKは大起の従業員約80人のうち76人の推薦を受け、面接をへて74人を採用した。大半が職場に残る中で、2人は説明のないまま一方的に採用から排除された形だ。
(以下略)
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あからさまな法律違反を指摘したら、あからさまに差別的な取り扱いをされた(労基法等の違反や公益通報した者を差別・排除するのは法律違反でもある)という問題ですが、これが日本の代表的企業グループなのです。
それにしても80名中の74名を採用し、内部告発をした当事者と、その同居人を排除するとは・・・。露骨すぎる。世界のトップ企業の城下町では、こんなことが当たり前に行われているということでしょうか?
これだけ問題が出てくると、他にも隠されていることが多いのではないか? との疑念も生まれます。
企業の利益に反することは、だれもものをいえない風土がそこにはあるということでしょうか? トヨタはフィリピンでも露骨すぎるほどの手法で労働組合排除をしていますが(この問題は労働争議化しています)、経営者も企業の利益第一で働き続けている管理職も、強い危機感を持つべきです。いま、「なにかが壊れ始めている」という認識、企業が腐り始めているという認識を持てるかどうか? そして、誰が見てもおかしいような企業論理のゴリ押しについて深く反省するかどうか?
企業の姿勢、そして社内の労働組合の姿勢が問われます。
また、厚労省官僚が主導的に進めている「労働法制」の論議で、企業の都合による解雇の自由(解雇理由がなりたたなくても退職条件を整えることができる)が大きな問題になっていますが、このトヨタグループのような問題はどうなるのでしょうか? 法律違反を指摘するようなものたちは労働条件を整えて辞めてもらう、ということが罷り通ったら、企業は腐敗してゆくのではないでしょうか?
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