雇用問題の相談は、占い屋さんより・・・
先週金曜日の夜、何気なく居酒屋に流れているテレビを見ていたのですが、そこでは「人生相談」のようなことが行われていました。事例を挙げて、大御所の占い師さんが、なにごとかアドバイスするという内容でした。
相談内容は、30代男性が、会社が新たに設けた転勤規定に応じるかどうかというものでした。転勤に応じれば20万円の給料は据え置き、応じなければ15万円だそうです(テレビ局が用意した話ですが)。
占い師は言います。「15万円で家族で暮らせるわけがないじゃない!」
なるほど・・・暮らせるわけがない。
しかし、その後に「転勤しなさい」というアドバイス。
相談の当事者は妻の体調などから単身赴任はできないというのに・・・。
30代になって転職したらその賃金を得られないっていうのです。
さらに、(環境の良い地方に)引っ越せば、妻の体調も良くなるかもしれないとかなんとか・・・。
呆れてしまいました。この占い師の感覚はかなりズレています。労働契約が明確でなく、しばしば労基法違反も多くある芸能界・マスコミ業界に長く棲息しているとこうなってしまうのでしょうか?
ところで、労働契約上は、なにが問題なのでしょうか?
まず、転勤の規定が新しく作られ、賃金が25%引き下げられるというのですから、これは重大な労働条件の変更になるので、本人の同意が必要です。一方的には下げられません。下げられたら、その分の返還を求めましょう。(ただし、当事者が労働組合に加入していて、その労働組合が会社側と協定を結んだ場合、減給が有効となる場合がありますので、企業内組合に入っている人は要注意です)
また、労働相談を受けている経験からすると、このような場合は、その当事者を辞めさせるための嫌がらせの場合もあります。「暮らせない」ような賃金を提示するような会社に義理立てする必要もありません。
もし、このような転勤強要に直面したら、占い師さんや人生相談屋さんでなく、労働弁護団や労働組合(企業内御用組合は役に立たないこともありますが)に相談してから、どうするかを判断しましょう。
占い屋さんは、転勤に応じて「一生懸命頑張ること」みたいなことも言っていました。でも、そんな会社じゃなくっても、一生懸命頑張らなくても、30代で月20万円の給与は得られると思うのですが・・・。
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