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2006年4月18日 (火曜日)

労働組合のマイナス効果

労働組合は、労働者の労働条件の向上と労働環境の改善のためにあります。それは、労働者の生活を守るためにということでもあります。

労使間で抜き差しならない対立があり、いわゆる労働争議状態が発生していなければ、「労働組合がある会社は労働者の権利が守られている」はずなのです。

しかし、現実はそうなっていないようです。

「労働組合が勝手に手当の削減や退職金の減額に合意してしまった」「労働組合が成果主義的な評価制度を認めてしまったために、給与額が下がってしまった」「労働組合の会議に出ないと、仕事の段取りがわからないし、その会議については賃金が出ない」「上司の嫌がらせについて労働組合に相談したら、我慢するほかないとアドバイスされた」などなど・・・。

労働組合が労働条件を切り下げている。あるいは労働環境を悪化させているという内容の相談が寄せられるのです。しかも、そのような相談は増えてきています。

ここでいう労働組合とは多くの場合は会社に入社とともに自動的に加入することになっている「ユニオンショップ協定」組合のことです。大企業などにはこの組合が多くあります。

ユニオンショップでは労働者は労働組合を抜けると、他の労働組合(個人加盟方式の組合でもOK)に入らない限り会社を解雇されてしまいます。だから労働者に対するユニオンショップ労働組合の支配力は極めて強力です。そして、社員は多くの場合、ユニオンショップ労働組合の組合員だから、労働組合の決定には従わなくてはなりません。労働組合は建前上は「自主的に経営者から独立して運営されている」はずですから、労働組合が組織決定したことは、そこに加入している労働者が自主的に決定したものということになってしまうのです。

ところで、多くのユニオンショップ労働組合は、企業と一体化しています。労働組合の役員を「卒業」すると会社の人事・総務ポストの管理職に就くことなどは、当たり前に行われています。会社に楯突くなどはもってのほかということで、会社の労務政策は労働組合を通じて遂行されているのです。

労働組合を通じて、しかも形式だけは労使間協定(会社と労働組合の交渉の結果得られた成果を協定すること)によるので、労働組合が「合意」し「協定した」ことは、社員個々人=労働組合員個々人の合意を得たことになってしまいます。だから賃金の減給も、手当のカット、退職金の廃止や減額も思いのまま!

労働組合がなければ、こんなことは出来ないのに(労働条件の不利益な変更については対象となる個人の同意が必要になります)、労働組合があるから出来てしまうのです。これは本末転倒です。このような「労働組合のマイナス効果」に対抗するのはどうしたら良いのでしょうか?

残念ながら簡単に対抗する手立てはないのです。労働組合を企業の言いなりの組合から、頑張る組合に変えること、企業内組合に見切りをつけて別の組合に入るか、仲間とともに別の組合を作ることなどの対抗手段をとるしかありません。

また、ユニオンショップ労働組合のあり方が果たして正しいのか?という問題があります。本来、企業の支配介入から労働者の団結権を守るためであったユニオンショップ制が、企業利益のためだけにしか機能しないのはおかしい!という考え方です。つまり組織運営方法を含めて会社のユニオンショップ制の不当性を訴える道を探っていくわけです。

日本の労働組合が労働者の信頼を得るためには、まず、ユニオンショップ労働組合をめぐる問題の根本的解決が必要だと思うのです。

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